2004 Fiscal Year Annual Research Report
光反応によるランダムレーザーの発振モード制御の研究
Project/Area Number |
16540296
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
栗田 厚 関西学院大学, 理工学部, 教授 (70170082)
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Keywords | 多重散乱 / レーザー / ランダム媒質 |
Research Abstract |
レーザー色素を溶かしたMMA(メタクリル酸メチル)に散乱体として酸化チタン微粒子を分散し、MMAを重合によってPMMAとした固形ランダムレーザー媒質を作製した。これを、QスイッチNd : YAGレーザーの第2高調波でポンピングし、ランダムレーザーの発振特性を調べた。励起パルスのタイミングの制御に、遅延パルス発生器を用いた。レーザー色素の濃度、散乱体の濃度を変えた試料に対して、ポンピング強度を変えて試料からの発光の測定を行ない、ポンピング強度のしきい値を詳しく調べた。発光の測定は、分光器とCCDを用いて行ない、パルス1発ごとのスペクトルも測定した。その結果、酸化チタンを含む試料は、あるポンピング強度のしきい値を超えると発光スペクトルの幅が急激に狭くなるという、レーザー発振的な特徴を示した。しきい値の前後における幅の変化は、酸化チタン濃度が低すぎても高すぎてもゆるやかになり、レーザー動作を起こさせるための散乱強度には最適値があることが明らかになった。一方、酸化チタンを含まない試料では、酸化チタンを含む試料におけるしきい値よりも1桁程度高いポンピング強度においてスペクトルが少し狭くなるのみであり、散乱体の効果は明らかである。一方、発光の放出方向、偏光特性は、散乱体を含む試料でも、等方的であった。この試料にさらに過飽和色素を混ぜ込んだ場合の発振特性の測定、特に放出方向や偏光特性の測定を、継続して進めている。
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