2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540298
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
五十嵐 潤一 茨城大学, 理学部, 教授 (20127179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 学 群馬大学, 工学部, 助教授 (50250816)
野村 拓司 日本原子力研究所, 放射光科学研究センター, 研究員 (90373240)
薄田 学 日本原子力研究所, 放射光科学研究センター, 博士研究員 (00370362)
西川 裕規 大阪市立大学, 理学部, 講師 (60373239)
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Keywords | 共鳴X線散乱(RXS) / スピン密度波(SDW) / 遷移金属K吸収端 / アクチノイドM吸収端 / 多重極子秩序 / 共鳴非弾性X線散乱(RIXS) / 電荷励起 / 銅酸化物 |
Research Abstract |
共鳴X線散乱スペクトルを微視的立場から理論的に解析し、その機構の解明を行い以下の成果を得た。 弾性散乱 1.第一原理計算に基づき、Crのスピン密度波(SDW)相における、K吸収端共鳴X線散乱スペクトルを解析した。CrのSDW秩序に対応する超格子点散乱強度は、4p状態の軌道分極から生じる。本研究から、4p状態の空間的に広がった性質により、p-d混成相互作用を通して周りのCr原子の3d状態の軌道分極が4p状態に軌道分極をもたらすという機構が明らかになった。このことは、スペクトルから秩序相の情報を得る上で重要な制限を与える。 2.URu_2Si_2の低温相は、どのような対称性をもっているかわかっていない。UのM_<4,5>吸収端共鳴X線散乱スペクトルを局在模型に基づき解析し、相の対称性とスペクトル形状との関係を研究した。四重極子相と八重極子相とではスペクトルの形に違いがないが、双極子相ではスペクトル形状が違うことを見出し、スペクトルから多重極子相同定の可能性を議論した。 非弾性散乱 1.第一原理計算に基づき、SiのK吸収端における共鳴非弾性X線散乱(RIXS)スペクトルの解析を行った。スペクトルは価電子帯から伝導帯への電荷励起から生じるが、終状態の運動量が変化するとスペクトルが系統的に変化する。その変化をよく再現する結果を得るとともに、バンド構造との関連を明らかにした。 2.以前にLa_2CuO_4におけるCu K吸収端におけるRIXSスペクトルの解析をおこなったが、その手法を拡張して、SrCuO_2やSr_2CuO_3といった擬一次元系におけるRIXSスペクトルの解析を行った。d-p模型に基づき、反強磁性状態にハートレーフォック法を用いて、電荷励起状態を記述した。電子相関効果は乱雑位相近似を用いて取り入れた。スペクトルの2ピーク構造や終状態の運動量変化によるピークの動き等実験結果をよく説明するとともに、スペクトルの発現機構を明らかにした。乱雑位相近似による補正は実験結果の定量的理解に重要であることがわかった。
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Research Products
(6 results)