2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540298
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
五十嵐 潤一 茨城大学, 理学部, 教授 (20127179)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 学 群馬大学, 工学部, 助教授 (50250816)
野村 拓司 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (90373240)
西川 裕規 大阪市立大学, 理学研究科, 講師 (60373239)
長尾 辰哉 群馬大学, 工学部, 助教授 (00237497)
|
Keywords | 共鳴X線散乱(RXS) / 四重極遷移 / 多重極秩序 / 共鳴非弾性X線散乱(RIXS) / 電荷励起 / 銅酸化物 / 2マグノン励起 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、共鳴X線散乱スペクトルを微視的立場から理論的に解析し、その機構の解明を行い、以下の結果を得た。 弾性散乱 1.局在電子描像に基づいて、四重極遷移による共鳴X線散乱スペクトルと多重秩序との関係をあらわす一般式を導いた。"fast collision"近似をこえた定式化により、スペクトルの形状が議論できるようになった。また、この定式化を用いて、Ce_<1-x>La_xB_6における共鳴X線散乱の解析を行い、人重極秩序とスペクトルの関係を明らかにした。 2.前年度に得た双極子遷移にたいする定式化を用いて、U_<0.75>Np_<0.25>O_2とUO_2のtriple-k秩序状態におけるU及びNpのM吸収端共鳴X線散乱スペクトルの解析を行い、スペクトルと秩序相との関連を明らかにした。 非弾性散乱(RIXS) 1.Keldyshグリーン関数を用いたRIXSスペクトルの定式化(野村・五十嵐による)では、内殻正孔によるポテンシャルをボルン近似で扱っている。La_2CuO_4におけるCu K端RIXSスペクトルに対して多重散乱を取り入れて計算し、ボルン近似が正当化される結論を得た。すなわち、多重散乱の大部分の効果は内殻レベルのエネルギーのシフトに繰り込まれ、RIXSスペクトル形状はボルン近似で得られるものとあまり違わないという結論を得た。 2.最近のLa_2CuO_4におけるCu K端RIXSスペクトルにおいて、エネルギー損失が1eV以下の領域に2マグノン励起に起因すると思われるピークが観測されている。このスペクトルを記述する定式化を提案し、ハイゼンベルグ反強磁性体にたいする1/S展開(Sはスピンの大きさ)を適用して具体的にスペクトルを求め、光学領域のラマン散乱スペクトルとの違いを明確にした。
|
Research Products
(6 results)