2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540300
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 昌司 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (90252551)
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Keywords | 1次元フェリ磁性体 / ナノスケール分子磁性体 / 核磁気緩和率 / 修正スピン波理論 / 多重マグノン散乱 / 数値対角化法 / 動的帯磁率 |
Research Abstract |
スピン波理論は,物質の磁気励起・磁気緩和過程を記述する上で極めて有用であるが,ボーズ・アンサンブル特有の粒子数発散の困難があり,低次元系にこれを素朴に適用しても定量的知見は得られないとされてきた.そこで,粒子数の制御条件を課すことにより従来のスピン波理論を修正し,低次元磁性体の熱力学・動力学の定量的記述を試みようというのが,本研究の主題である. これまで陰に陽に実験研究グループと協力・連携し,Haldane磁性体Ni(C_2H_8N_2)_2NO_2(CIO_4),複核金属フェリ磁性体NiCu(C_7H_6N_2O_6)(H_2O)_3・2H_2O,2重鎖幾何学フェリ磁性体Ca_3Cu_3(PO_4)_4などの核磁気緩和現象を解明してきた.研究最終年度は,これらの成果を国内外会議で積極的に発信するとともに,大規模数値計算により理論を洗練・定量化することにも努めた.普遍律としての理論大枠を体系化した上で,物質固有の特異性をも指摘した.研究最終年度における総括的活動の一方で,発展的新規課題申請に向けて,新たな試みも開始した. 1つは単分子ナノ磁性体の核磁気緩和理論構築である.Lanczosアルゴリズムに基づく連分数展開法を用いて環状金属クラスターの核磁気緩和率を計算し,特にスピンーフォノン相互作用の重要性を指摘した.他方,学際的萌芽的トピックスを模索して,光誘起の磁性現象,光で観る低次元物性の情報収集,理論創りにも乗り出している.核磁気共鳴と光学励起では,エネルギー・スケールは大きく違うが,例えば動的帯磁率と光学伝導度の計算では技術的に共通点も多く,既に数値コードの作成に取りかかっている.
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Research Products
(4 results)