2004 Fiscal Year Annual Research Report
中性子散乱による金属Crのスピン密度波の再調査-ストライプ秩序との接点を求めて-
Project/Area Number |
16540303
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平賀 晴弘 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90323097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 和芳 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (70133923)
藤田 全基 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20303894)
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Keywords | 中性子散乱 / スピン密度波 / 結晶育成 / 磁気励起 / 高温超伝導 |
Research Abstract |
今年度は、以下に示す二つの課題に取り組み、次年度に継続・発展させる予定である。 1)クロム合金高品質大型単結晶育成のチャレンジ 本研究課題の大きな目標は、東北大学金属材料研究所(以降、金研と呼ぶ)が持つ高度な結晶育成技術をクロム合金に応用し、その高品質・大型単結晶育成方法を確立することである。まず、これまでに報告されている育成方法とその育成結果のデータを吟味し、金研の宍戸助教授(結晶育成部門)と技術的な検討を重ねた。その結果、従来使われているアーク放電法では、育成ハースからの不純物の混入が避けられず、組成が不均質になり易い、大型結晶育成が困難といったデメリットが判明した。したがって、酸化物合成に多く使われているfloating-Zone法を、クロム合金に採用することにした。この方法では、育成るつぼ等を使わないために不純物の混入を極力抑えることができる。また、パルス的に熱を加えるアーク放電法と異なり準静的な育成方法の故に、大型高品質の結晶育成が比較的容易である。ただし、クロムの高い蒸気圧を見越した工夫が必要で、現在その課題克服に取り組んでいる。 2)純クロム単結晶の磁気励起 本研究グループが新たに見出した不可解な低エネルギー磁気励起(以降、newモードと呼ぶ)が、これまでに報告されている奇妙なサイレントピークとどのように関連しているか、明らかにしようとした。Single-Q化したCr単結晶を用いた中性子非弾性散乱実験を、海外在住の協力研究者である白根博士(ブルックヘブン米国国立研究所)とBoni博士(ミュンヘン工科大学)の両グループと共に、フランスILL研究所にて行った。ビームタイムの制約で、今回はnewモードの確認に留まったが、新たに低エネルギーフォノンに異常がある兆候を見出した。したがって、次年度にはフォノンの再調査も平行して進める予定である。
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Research Products
(6 results)