2005 Fiscal Year Annual Research Report
中性子散乱による金属Crのスピン密度波の再調査-ストライプ秩序との接点を求めて-
Project/Area Number |
16540303
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平賀 晴弘 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90323097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 全基 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20303894)
山田 和芳 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (70133923)
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Keywords | スピン密度波 / ストライプ秩序 / 中性子散乱 / Cr合金 / La2-xSrxCuO4 / 不純物置換 |
Research Abstract |
中性子非弾性散乱実験によるスピン密度波(SDW)状態での磁気励起の解明を目指し、韓国原子力研究所(KAERI)のSungil Park博士とCr合金の共同研究を開始した。まず、純Crの低エネルギー磁気励起に関する研究成果を、「第6回韓日中性子科学研究会」(2006年2月、東海)にて、連名で講演発表を行った。現在、金研の結晶作成室と共にCr合金大型単結晶作製に取り組んでいる段階である。 その一方で、Crのスピン密度波と好対照な銅酸化物超伝導体La2-xSrxCuO4(LSCO)におけるストライプ秩序の研究が、最近大いに進展した。具体的には、LSCOに対してNi置換を施し(これは、Crに対するV置換効果に相当する)、LSCOの反強磁性絶縁相とアンダードープ超伝導相のSDW各々へのNi置換効果を調べた。Ni置換大型単結晶LSCOをFloating Zone法で作製し、日本原子力研究開発機構(JAEA)の脇本秀一博士と松田雅昌博士との共同研究で、中性子磁気散乱を測定した。反強磁性絶縁相の磁気構造解析と電気伝導の温度変化から、ホールの遍歴性と磁気秩序の間に働く強い相関を見出し、Papers of Editors' choice[J.Phys.Soc.Jpn.8月号(2005)]を受賞した。アンダードープ超伝導相においては、SDWの空間周期と磁気散乱断面積の観点から、CrとLSCOのSDWにおける対照的な不純物効果を見出した。また、LSCOにおける超伝導と静的磁気相関との競合関係のみならず、Ni不純物の高いホール吸収能が判明し、強相関電子系における遍歴するホールの新たな一面を明らかにすることが出来た。(太田聡一:東北大学修士論文、2006年)本研究により、不純物効果を通して、CrにおけるSDWの別の面を明かすことができた。
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Research Products
(3 results)