2004 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ユニットセルを持つ炭素ナノ構造体の理論研究総合システムの構築
Project/Area Number |
16540309
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 晋 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00262254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 隆 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30332638)
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Keywords | ナノチューブ / フラーレン / 分子動力学法 / モデルポテンシャル法 / 密度汎関数法 / 炭素ナノ構造体 / タイトバインディング法 |
Research Abstract |
炭素ナノ構造体の理論研究総合プログラムシステムの構築を最終目的とする本研究課題の初年度として、まず、タイトバインディング法に基づく分子動力学計算プログラムを作成した。炭素ナノ構造体のダイナミクスを研究する際には、sp2混成軌道を取る炭素原子の織りなす2次元平面間の相互作用を記述できることが重要である。本研究で組み込んだタイトバインディング法は、この面間の相互作用を密度汎関数法と同レベルで記述出来る様に当研究室でパラメータを新たに定めたものである。他方、分子動力学手法部分には、温度一定の条件の下で系の時間発展を追うプログラムに加えて、圧力一定の条件の下で系の時間発展を追うプログラムを完成させた。これまで、新たな炭素ナノ構造体の合成研究では、既知の系への加熱のみならず、系に圧力をかけることによって達成されてきた。組み込まれた分子動力学法の多様性から、本総合プログラムシステムは、実験研究の解析のみならず、実験に先立って理論的に新構造を予言することも研究目的となりうるものとなった。その応用例として、カーボンナノチューブ固体を加圧した場合に体心正方格子を組んだ新しい炭素結晶相があり得ることが示唆される結果を得ている。 炭素ナノ構造体の研究にタイトバインディング法を用いる利点は、第一原理電子構造計算手法に比較し、その扱える系の大きさが数倍〜10倍ほど大きいことであるが、それでも、さらに大きな系の研究が必要となる場合も多い。その場合に有効となる原子間モデルポテンシャル法の一つであるTersoffポテンシャルの精度確認とその利用を進めている。
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Research Products
(5 results)