2005 Fiscal Year Annual Research Report
正方晶HoCoGa_5型結晶構造に発現する特異な超伝導物質の探索
Project/Area Number |
16540317
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
稲田 佳彦 岡山大学, 教育学部, 助教授 (80273572)
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Keywords | 強相関電子系 / SmTIn5 / 結晶成長 / 磁性 / 超伝導材料 |
Research Abstract |
強相関重い電子系で見られる特異な超伝導は、f電子が遍歴か局在かの微妙な状態をとる場合に発現する。Sm化合物はf電子の局在性が強すぎるため、今までその研究対象ではなかった。本研究の目的は、Sm化合物でも特異な超伝導が発現するか否かを物質探索を通して明らかにすることである。目標を正方晶HoCoGa_5型結晶構造の物質群に絞った。この物質群では、CeTIn_5(T : Co, Rh, Ir)やPuCoGa_5が特異な超伝導として報告されている。この系では、磁気揺らぎが重要な役割を担っていることは間違いないが、詳しい機構は未解決である。f電子数から、Sm化合物ではPuCoGa_5に似た特異な超伝導が発現する可能性が期待される。ただし、f電子の局在性を弱める工夫が必要である。本研究では、f電子が遍歴側にシフトすると期待されるSmCoIn_5の単結晶育成を主な目標とした。フラックス法を用いてSmTIn_5(T : Co, Rh, Ir)の単結晶育成に成功した。SmCoIn_5では本研究で初めて単結晶育成に成功した。SmCoIn_5はこの3物質の中で最も反強磁性転移温度が低く、f電子の局在性が弱くなっていることが期待される。2005年春および秋の日本物理学会、2005年SCES国際会議に成果を公表した。 現在、高圧下での研究を進めている。10GPa以下ではまだ磁気秩序が残っているが、転移温度が一番低いSmCoIn_5では転移温度の低下する割合が最も大きいことを明らかにした。2005年夏のICMのサテライト会議で報告予定である。
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