2006 Fiscal Year Annual Research Report
dおよびf電子を含む系の軌道偏極とX線吸収二色性の理論
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16540321
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
城 健男 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (20093487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 新 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助手 (70253052)
獅子堂 達也 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助手 (20363046)
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Keywords | 軌道秩序 / X綿吸収二色性 / 遷移金属酸化物 / 希土類化合物 / 軌道モーメント |
Research Abstract |
本年度に得られた成果を以下に記す。 1.GW近似計算のためのFLAPW法による誘電関数計算コードの開発 GW法で本質的な役割を果す誘導関数を平面波を基底関数として採用し、その対称化された行列要素の計算精度がどの程度平面波エネルギーのカットオフに依存するかを調べた。具体的に、MnO, Ni, Siを選び行列要素の計算と行った結果、カットオフとして20Ry程度を選ぶことにより、誘導関数が精度よく求まることを示した。これは波動関数のLAPW基底と同程度のカットオフであり、平面波基底による誘導関数の計算が十分実用に適した手法であることが明らかになった。 2.BaVS3における金屑絶縁体転移の理論 BaVS2は六万晶ベロブスカイト構造を持ち、VS6八面体がc軸方向に1次元鎖を成す。この系で起こる金属絶縁体転移の機構を、周期的境界条件を課した8個のVイオンから成る1次元鎖を考え、軌道縮重、原子内クローン・交換相互作用を考慮したハミルトニアンをランチョス法で取り扱うことにより調べた。その結果、この系の金属絶縁体転移は、強い電子格子相互作用に起因し、長周期の軌道秩序を伴っていること、またそれに伴う電荷密度波は振幅は小さいことを示した。またこれらのV3d軌道占有から予想されるV2p内殻X線吸収スペクトル線二色性を議論した。 3.Fe304におけるVerwey転移 Fe304のFeBサイトのminorityspinを持つt2g電子のモデルとして、spinless-3バンドハバードモデルを仮定し、厳密対角化法とHartree-Fock近似を用いて、この系で議論されているVenvey転移前後での電荷および軌道秩序について議論した。その結果、転移温度以上では、軌道磁気モーメントを伴った複素軌道秩序状態が現実的なモデルパラメータの範囲で実現され、転移温度以下では3d電子と格子歪みとの強い結合によって、電荷秩序を伴ったより長周期の複素軌道秩序状態実現している可能性を示した。
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Research Products
(10 results)