2005 Fiscal Year Annual Research Report
規則格子系マンガン酸化物におけるスピン・電荷・軌道秩序の微視的研究
Project/Area Number |
16540324
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大野 隆 徳島大学, 工学部, 教授 (70035640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 豊 徳島大学, 工学部, 教授 (80201458)
川崎 祐 徳島大学, 工学部, 講師 (10346588)
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Keywords | マンガン酸化物 / 規則格子系 / スピン秩序 / 相分離 / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
平成16年度に引き続き、Aサイト規則格子のマンガン酸化物LaBaMn_2O_6のNMRによる研究を進めた。基底状態でのLaおよびMnのNMRスペクトルを詳しく測定し、ともに強磁性相と反強磁性相両方からの信号を捕らえることができた。これにより、微視的な立場から規則格子LaBaMn_2O_6においても、強磁性相と反強磁性相が共存していることを如実に示すことができた。両相の共存は結晶の不規則によるのではなく、規則格子でも存在しうることを明らかにできた。更に、反強磁性相と共存する強磁性相からのNMR信号の強度は非常に強く、非常に強い強磁性エンハーンスメントがあることが示され、強磁性相の大きさとして磁壁を含むこと、すなわちナノスコッピックではなくてメゾスコピックな大きさであることが明らかになった。また、比較のため不規則格子のLa_<0.5>Ba_<0.5>MnO_3とともに、スペクトルの温度変化、スピン-スピン緩和率などの測定を行った。スペクトル強度の比較から、試料が不純物としてやむなく含む不規則格子La_<0.5>Ba_<0.5>MnO_3の分量を見積もった。スペクトルの温度変化から強磁性相と反強磁性相でのMnの内部磁場の温度変化を評価した。この内部磁場の温度変化を中性子散乱の強磁性成分による強度の温度変化のデータと合わせて解析し、強磁性相が試料の全体積のどれだけの割合を占めるかを評価した。結果として、200K近辺から反強磁性相が強磁性相の中で成長し、基底状態ではそれらが50%-50%の割合で共存することが明らかになった。これらの結果は、国際会議SCES'05(ウイーン)の論文およびPhysical Review Lettersの論文にした。また、LaBaMn_2O_6およびYBaMn_2O_6のμSRの測定もカナダ・TRIUMFおよび高エネルギー物理学研究機構で行った。
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Research Products
(4 results)