2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540325
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
門脇 広明 首都大学東京, 都市教養学部, 助教授 (70194876)
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Keywords | フラストレーション / 磁気相関 |
Research Abstract |
パイロクロア構造を持つスピネル酸化物の磁性体の研究により、正四面体ネットワーク格子においてフラストレーションの効果が多彩な形で現れることが認識され、実験・理論共に研究が活発になっている。本研究は、パイロクロア酸化物磁性体におけるスピン相関を中性子回折法により直接観測し、フラストレーションの本質を究明することを目標とした。具体的には、スピンアイス系のDy2Ti207単結晶に[111]方向の磁場をかけて、比熱測定等により予想されているカゴメアイス状態のスピン相関が実現されているかどうかを観測することに大きな目標を設定した。この実験は、原子力研究所およびラウエ・ランジュバン研究所(Grenoble)の原子炉にて行い、17年度までに十分な実験データを得ることができた。この実験データが、最近接強磁性交換相互作用によりカゴメアイス状態を安定化させるメカニズムがはたらくことを意味するかどうかという問題は、やや面倒な計算を必要とするために実験から簡単に結論はできない。現在、モンテカルロ法を用いて強度データを解析しているが、双極子相互作用が主たるスピン間の結合であるにもかかわらず、最近接強磁性交換相互作用の場合とほぼ同様なスピン相関が実現されるという非常に興味深い事実を実験結果は示していることが分かって来た。大きいシステムサイズと長い計算時間を必要とする解析を行っているため最終的な結果に到達するまで、もう少し時間を必要とする。最近接強磁性交換相互作用と思われるスピンアイス系Nd2Sn207,量子効果が期待されるパイロクロア酸化物Tb2Ti207についても中性子回折実験を行い、スピン相関の解析を行っている。
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Research Products
(2 results)