2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540327
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
住山 昭彦 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 助教授 (30226609)
|
Keywords | 重い電子系超伝導体 / ジョセフソン効果 / 異方的超伝導 / d波超伝導 |
Research Abstract |
本年度は重い電子系超伝導体としてUPt_3、CePt_3Si、並びにCeIrIn_5を用い、その上に常伝導金属(N)、s波超伝導体(S')を積層したジョセフソン素子の研究を行った。 まず、UPt_3については、前年度の研究に引き続いて秩序変数の軌道部分の位相について調べるため、b軸とa軸に垂直な二つの面でできたコーナー上の素子(ジョセフソン干渉計)の研究を行ったが、これまでのところ、b軸とa軸方向の間で秩序変数の位相の変化を示唆する結果は得られていない。現在、これまでの結果を論文にまとめている段階にある。 次に、最近見つかったCePt_3Siについては、結晶に反転対称性を持たない特異な物質であり、その超伝導性に興味が集まっているので、本年度の計画には入っていなかったが、急遽、特に注力して研究を行った。その結果、a軸方向については各場所から位相のそろったジョセフソン電流が流れ出ていることが確認できたが、c軸方向では零磁場下でも場所ごとで位相が揺らいでいることがわかった。この原因としては、秩序変数がs波以外の異方的な秩序変数を持っていることが考えられる一方、磁束トラップや表面に現れた磁性の影響の可能性も否定できないが、c軸方向にだけ異常が現れた原因は不明である。以上の結果は、学会で発表するとともに現在論文化を目指しており、また、来年度にはコーナー型素子の研究へと展開する予定である。 最後に、CeIrIn_5については、これまでの研究でバルクの転移より高い温度で電気抵抗が零になるなど、表面に不均一な超伝導状態が生じている可能性が示唆されていたのであるが、案に相違してa軸方向で理想的に近い磁場依存性(フラウンホーファー回折図形)が得られた。この結果のみでも、CeIrIn_5のd波秩序変数の候補のうちd_<x2-y2>を支持していることになるが、さらに詳しく調べるため、今後コーナー型素子の研究を行う予定である。
|