2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540327
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
住山 昭彦 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 助教授 (30226609)
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Keywords | 重い電子系超伝導体 / ジョセフソン効果 / 異方的超伝導 / d波超伝導 |
Research Abstract |
本年度は、重い電子系超伝導体として、d波超伝導状態が実現していると考えられているCeIrIn_5を対象に選んで、s波超伝導体との間のジョセフソン効果の研究を行った。 この物質の[100]軸方向については、昨年度に理想的に近い磁場特性(フラウンホーファー回折図形)が得られていたので、本年度は[110]軸方向の素子の研究を行ったところ、やはり回折図形に近い磁場依存性が得られた。この物質では、line nodeが[110]軸方向(dx^2-y^2状態)に存在するのか、[100]軸方向(d^<xy>状態)に存在するのかが議論となっており、node方向では磁場依存性に異常が出るはずであるが、我々の二種の素子ではどちらの状態が実現しているのか確定することができなかった。そこで、[100]軸・[010]軸両方向の電流からなるコーナー型素子を作成し、ジョセフソン干渉計の研究を行った。もしdx^2-y^2状態が実現して二つの方向の間で秩序変数の位相が反転している場合、臨界電流の磁場依存性が零磁場で極小を持つことが予想されるが、その検出のためには2つの方向それぞれの臨界電流がほぼ同じ大きさであることが必要である。これまでに作成したコーナー型素子ではこの条件が完全には満たされていないためか、微小な極小が現れた一例を除いて、今のところdx^2-y^2状態を確証するような特性は見出されていない。このように、コーナー型素子の研究には、これまで以上に特性の揃った素子を作成する技術を確立することが必要であるので、今後素子の作成法まで遡って改良を行う予定である。また、圧力下でのジョセフソン効果を研究するために、高圧セル内に[110]軸方向の素子を導入して測定を行ったところ、転移温度の変化を反映したジョセフソン効果が観察された。従って今後、圧力依存性の研究への展開も可能であると考えられる。
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Research Products
(4 results)