2004 Fiscal Year Annual Research Report
デラフォサイト型三角格子反強磁性体酸化物の圧力効果
Project/Area Number |
16540331
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高橋 博樹 日本大学, 文理学部, 教授 (80188044)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 拓也 日本大学, 文理学部, 助教授 (20212136)
|
Keywords | デラフォサイト / 三角格子 / 磁気フラストレーション / 高圧 / 超伝導 / 反強磁性 / CuFeO_2 / CuCrO_2 |
Research Abstract |
デラフォサイト型酸化物はABO_3はA原子およびB原子による2次元三角格子面を持ち、組成により金属、半導体、絶縁体および磁性を示すものまで非常に多彩である。その中で磁気フラストレーション系である反強磁性絶縁体のCuFeO_2とCuCrO_2に焦点を当て、高圧力下での新秩序相の探索を行うことを目的とした。 試料は固相反応法により作成した。CuFeO_2とCuCrO_2のほかに電気伝導性が増加するように元素置換を行った。2次元三角格子層を持つデラフォサイト型遷移金属酸化物CuFeO_2とCuCrO_2は、遷移金属元素が2次元三角格子層を形成する磁気フラストレーション系物質として知られており、低温では磁気相互作用の微妙なバランスにより反強磁性を示す。高圧磁化率測定からCuFeO_2では2つの反強磁性転移温度(12.4K,8.4K)が1GPaあたり約1K減少することがわかり、約10GPaで反強磁性相が消失することが予想された。また、予備的な測定からは10GPaの圧力下で電気抵抗が約1桁減少した。CuCrO_2ではCrサイトをバナジウムなど他の遷移金属元素で置換することにより、反強磁性転移温度(約30K)が大きく変化し、電気抵抗が減少することを観測した。低次元的性質を持つこと、元素置換に対し磁気的性質と電気伝導性が大きく変化することに注目し、電子のトランスファーを増加させることを狙って、元素置換効果を行った試料に圧力を加え、物性測定を行った。反強磁性絶縁体に元素置換によりキャリアーを導入することにより超伝導が発現する高温超伝導現象の類推から、圧力誘起超伝導も期待されるが、8GPaまでの高圧下での電気抵抗測定では半導体的振る舞いを示している。平成17年度はDACを用いた20GPaまでの四端子法による電気抵抗測定、磁化率の測定技術を確立しより高い圧力下での電気的・磁気的性質を調べる予定である。
|