2005 Fiscal Year Annual Research Report
デラフォサイト型三角格子反強磁性体酸化物の圧力効果
Project/Area Number |
16540331
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高橋 博樹 日本大学, 文理学部, 教授 (80188044)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 拓也 日本大学, 文理学部, 助教授 (20212136)
|
Keywords | デラフォサイト / 三角格子 / 磁気フラストレーション / 高圧 / 反強磁性 / CuFeO_2 / CuCrO_2 / CuAlO_2 |
Research Abstract |
デラフォサイト型酸化物の中で磁気フラストレーション系である反強磁性絶縁体のCuFeO_2とCuCrO_2に焦点を当て、高圧力下での新秩序相の探索を行うことを目的とした。 試料は固相反応法により作成した。CuFeO_2とCuCrO_2のほかに透明電極物質として知られるCuAlO_2を加え、さらに電気伝導率が増加するよう遷移金属による元素置換も行った。CuFeO_2とCuCrO_2は、低温では磁気相互作用の微妙なバランスにより反強磁性を示し、高圧磁化率測定からCuFeO_2では2つの反強磁性転移温度(12.4K,8.4K)が1GPaあたり約1K減少すること観測されていた。このことから、約10GPaで反強磁性相が消失することが予想され、量子臨界点を超える新しい相が現れることが期待された。本研究ではダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いて20GPaまでの圧力領域で電気伝導率を調べた。置換効果により電気伝導率の高い試料を選び測定を行ったところ、電気伝導率の増加は観測されたが、温度変化は半導体的であることがわかった。今後、置換効果によるキャリアードープおよびさらに高い圧力下での測定技術の開発を進める予定である。 また、本研究では10GPaを超える圧力領域での磁気測定、電気抵抗測定の技術開発も研究課題とした。磁気測定ではDACを用いて15GPaまで、電気抵抗測定では25GPaまで測定が可能となった。上に述べたデラフォサイト型酸化物のほかに本研究で開発した技術を用いて、最近フェルベー転移と軌道整列現象で話題になっているマグネタイトの高圧下物性を調べた。15GPaまでの磁化率測定(圧力媒体は液体)では、フェルベー転移温度が電気抵抗測定で得られた結果と同様に約8GPaで消失すること、20GPaまでの電気抵抗測定(圧力媒体は固体)では、圧力の静水圧性が試料与える影響が大きく、静水圧性のよいキュービックアンビルセルで測定した場合とは異なり20GPaまで金属的振る舞いを示さないことがわかった。今後、これらの技術を用いて、様々な物質の高圧下の物性を明らかにしていくと同時に圧力のクオリティーや最高発生圧力を高める技術開発を進める予定である。
|
Research Products
(2 results)