2004 Fiscal Year Annual Research Report
磁気双極子相互作用とリエントラントスピングラス転移
Project/Area Number |
16540335
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松原 史卓 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90124627)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白倉 孝行 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (90187534)
鈴木 伸夫 東北文化学園大学, 科学技術学部, 講師 (30302186)
|
Keywords | リエントラント相転移 / 双極子相互作用 / モンテカルロ・シミュレーション / スピングラス / 希釈磁性体 / 基底状態 / 遺伝的アルゴリズム |
Research Abstract |
1.ハイゼンベルグスピングラス模型の基底状態探索アルゴリズム、遺伝的アルゴリズム、の開発 スピングラス模型の基底状態の探索はNP困難問題として知られている。イジング模型では模型の特性を生かした様々な方法が提案され、それを使った基底状態の研究が為されているがハイゼンベルグ模型ではそのような方法は未だ存在しない。我々は最適化問題で使われている「遺伝的アルゴリズム」がこの問題にも使えることを発見し、そのアルゴリズムを提案した。この方法により、ハイゼンベルグスピングラス模型でレプリカ対称性の破れた状態が起こることを初めて発見した。基底状態の探索はリエントラント模型の低温相研究の有力な手段となる。 2.希釈磁性体模型のシミュレーション 強磁性的最近按相互作用J_1と反強磁性的第2近接相互作用J_2をもつハイゼンベルグ模型を非磁性原子で希釈した希釈磁性模型のモンテカルロシミュレーションプログラムを作成した。このプログラムを実行し、相互作用比がJ_2.J_1=-0.2、磁性原子濃度が80%近傍で温度を下げてくると一度強磁性が実現し、更に温度を下げると磁化が減少することが分かった。更に、この磁化減少温度でスピンが凍結することも確認した。以上よりこの模型はリエントラントスピングラス転移を示す有力な模型となると結論した。これはリエントラントスピングラス転移を実現する最初の模型例である。この模型の低温スピン構造は強磁性クラスターに依って特徴づけられることを明らかにした。
|
Research Products
(3 results)