2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540337
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々 真一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30235238)
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Keywords | 非平衡 / ゆらぎ / 応答 |
Research Abstract |
小さな非平衡系における揺らぎ、応答、熱力学に関して、以下の成果をえた。 非平衡条件下において小さい系に及ぼす力のうち、散逸に寄与する部分と駆動力に寄与する部分とそれ以外のランダムな部分にわける基準を見出した。平衡条件下での散逸は、揺動散逸関係(FDR)によって規定されているが、非平衡条件下ではFDRは成立しないので、新しい力の分割基準を見出した意義は大きい。この結果は、Phys.Rev.E (rapid communication)に掲載されている。 この結果を具体的な計算手法に生かすために、ランジュバン動力学を揺らぐ応答方程式に書き直す数理的な方法を開発した。この方法により、発見論的論法で見出した力の分割基準を、誰もが理解できる論旨で再構成できた。そして、測定可能な応答関数をつかって種々の量をあらわすことができるようになった。この結果は、J.Phys.A : Math and Gen.への掲載が決定している。 この結果の重要な応用として、非平衡定常系における発熱率を揺動散逸関係(FDR)の破れであらわす関係式を導くことができた。この普遍的な関係式はきわめて単純な形をしており、非平衡統計の純理論的成果としても印象的である。さらに、この等式により、今まで不可能だった小さな系における発熱率の測定による決定が可能になり、分子モーター系のエネルギー変換機構にも大きな影響を与えると期待できる。この結果は、Phys.Rev.Lett.に投稿中である。
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Research Products
(3 results)