2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540339
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小西 哲郎 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30211238)
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Keywords | ハミルトン力学系 / カオス / 多自由度 / 緩和過程 / アーノルド拡散 |
Research Abstract |
自由度の大きな保存力学系(多自由度ハミルトン系)の時間発展がどのようは特徴を示すものであるのかは、単に非線型力学系理論のみならず、統計力学の基礎問題としてまた、化学反応系などのように、構成粒子(分子など)の動的な特性が重要になってくる系において極めて重要な問題である。力学系理論の中では、多自由度ハミルトン系の典型的な挙動であり緩和過程の基礎過程として「アーノルド拡散」と呼ばれる過程が存在することが予言されていた。 これに関しての計算が順調に進行し、 ●予想されていた「アーノルド拡散」が実際に存在すること ●線形摂動の範囲内で得られていた「アーノルド拡散」の大きさの評価が実際にほぼ正しいこと ●「拡散」という名前が付いているが「アーノルド拡散」は実は時間的に強い相関をもった運動であること が初めて明らかになった。(文献参照) この結果によりアーノルド拡散に対する理解が大きく進んだと言える。また、アーノルド拡散が時間的に強く相関した運動であることから、化学反応系や生体分子、少数多体系などにおいて、その運動を「熱ゆらぎ」ではなく実際に運動方程式(ハミルトニアン)に基づいて理解し直すことが重要であると言える。。このたび発行されたAdvances in Chemical Physics special volumeでは、こうした動力学過程が化学反応などにいかに重要であるかが様々な系において議論されている。(文献参照)
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Research Products
(2 results)