2005 Fiscal Year Annual Research Report
自己変調過程より生じる臨界ゆらぎの特性解明と現実系への応用
Project/Area Number |
16540346
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高安 美佐子 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (20296776)
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Keywords | 自己変調過程 / データ解析 / 確率過程 / 自己相関関数 / 最適移動平均 / 市場価格変動 |
Research Abstract |
過去の変位の履歴の移動平均値に乗算型のノイズを付加し、さらに、加算型のノイズを加えたランダムな確率過程である自己変調過程に関連した現象の解析を進めた。 自己変調過程の応用として先駆的な役割を担ってきた市場の取引の発生過程のデータ解析を改めて解析し、残渣項のゆらぎを無相関にするような移動平均の重み付けを自動的に推定する方法を確立した。まず、与えられた時系列データの自己相関関数を計算し、次に、定常過程において最適な重みを推定するスタンダードな手法であるユール・ウォーカー法に基づき、移動平均の重みを推定する。その結果得られる誤差の時系列の自己相関関数を計算し、0にならない場合には、それぞれの項の重みを調整し、自己相関関数が0に近くなるように修正する。このような修正は、データの中に非定常な効果が入っている場合には必要となる。 外国為替市場の取引間隔の時系列データに関して、ここで開発した手法を適用すると、ティック時間ごとに重みが約0.75倍に減少する重みが決定する。結果として得られる残渣の変動はほぼ無相関にできることが確認される。ティック間隔はおよそ10秒のオーダーであり、この結果は2分間程度の移動平均が最適になるという既に当該研究者が発見している結果をより精密化することになる。 この方法は、取引間隔だけでなく、市場価格の変動そのものについても適用でき、市場価格の変動から無相関なノイズを取り除くことができた。この最適移動平均を適用した変動は市場を特徴付ける動力学の情報を持つものと期待される。
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Research Products
(6 results)