2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540347
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中村 勝弘 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50140801)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺井 章 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20192651)
|
Keywords | BEC / 干渉問題 / 2重スリット / 非線形シュレディンガー方程式 / 重力の影響 / 巨視的波束 |
Research Abstract |
本研究ではBECの干渉問題を考察することを目的とする。干渉を考察する上で有名な一電子干渉の2重スリットを用いることにした。BECは巨視的量子状態であり、通常の量子力学と違い観測しても波束の収縮が生じない非破壊の測定が出来るメリットがある。また、GPEは線形シュレディンガー方程式にはない非線形項を持っている。この非線形性はFeshbach共鳴によりある程度自由に変化させることができる。つまり、系に対する非線形性の影響の考察に適している。 ここでは巨視的波束の干渉縞に対する非線形性と重力の影響を明らかにした。 結論としては重力の増加はBECのde Broglie波長を短くし、干渉縞ピークの間隔を狭めるという影響を与え、非線形性の増大は波束の広がりを強める影響を与えることがわかった。それに伴い、干渉縞ピーク数の増加という現象を見ることが出来た。重力制御については、近年の宇宙開発計画で提案されている宇宙空間(宇宙ステーション、人工衛星)での実験において可能であり、非線形性の制御については、Feshbach共鳴の技術やBECに関与する原子数の調節で可能となる。 課題としては波束の2重スリットを透過する確率が非線形性に依存し、うまく一定値にならなかったことが挙げられる。これは閉じ込めポテンシャルを切った瞬間から非線形性が効き始めるため一定とならなかった。これも一種の非線形性の効果だが、さらに議論する必要があると思われる。 Youngの干渉実験に対応する考察を行なう場合は、2次元の2重井戸ポテンシャルによって2つのBECを準備して落下のシミュレーションを行なうことになる。しかし、この場合、干渉縞の形成は自明である。 これに対し、一電子干渉の2重スリット通過の具体的な挙動は自明ではない。2重スリットにより分裂した波束が干渉すること無く、拡散する可能性もある。 しかし、今回、数値シミュレーションでは分裂した波束が再結合し、美しい干渉縞を形成することを具体的に示すことできた。
|
Research Products
(5 results)