2005 Fiscal Year Annual Research Report
高温展開・低温展開の高次計算によるスピン統計系の研究
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16540353
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Research Institution | Osaka Prefectural College of Technology |
Principal Investigator |
有末 宏明 大阪府立工業高等専門学校, 総合工学システム学科, 教授 (10175987)
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Keywords | 相転移 / イジング模型 / XY模型 / 高温展開 / 有限格子法 / 臨界指数 / 比熱 / 帯磁率 |
Research Abstract |
本研究課題の最終目標である3次元XY模型の諸量の高温展開の高次計算を実行するための予備的研究として,2次元XY模型の諸量の高温展開の高次計算を実行するための手法を昨年来開発し実行している.昨年度は1995年に有末・田畑が開発した各サイトの自由度が3以上の場合に有効な有限格子法による高温展開級数の生成法の改良版を適用して,自由エネルギーを温度の逆数の48次まで,また帯磁率を28次まで求めた.今年度は,3次元イジング模型の高温展開において2000年に有末・藤原が開発した有限格子法による高温展開級数の生成法の改良版(単純な有限格子法では計算量がNの指数関数に比例していたものを,NlogNに比例するように劇的に改良した)を2次元XY模型の高温展開に適用する手法を開発し,これを用いて帯磁率を33次まで拡張した.得られた帯磁率の高温展開級数を解析して,2次元XY模型の相転移がKosterlitz-Thouless転移であることを従来に比べてはるかに高い精度で確証するとともに,相転移温度を5桁の精度で求めた.従来の高温展開によって求められていた相転移温度は3桁の精度しかなく,数10倍の精度の向上を得た.求めた相転移温度は,昨年大規模モンテカルロ・シミュレーションによって求められた値より2倍程度高い精度である.両者は精度の範囲内で一致しており,数値シミュレーションと解析的な研究とが相互に正しさを証明し合う結果となっている.これらの結果は3月27日-30日の日本物理学会で発表した.
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