2005 Fiscal Year Annual Research Report
高密度イオンビームを用いた新世代・電子-イオン衝突実験
Project/Area Number |
16540363
|
Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
坂上 裕之 核融合科学研究所, 連携研究推進センター, 助手 (40250112)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 誠 神戸大学, 理学部, 助教授 (90170646)
平山 孝人 立教大学, 理学部, 助教授 (40218821)
山田 一博 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (80222371)
|
Keywords | 電子衝突 / イオン励起過程 / Auger電子分光 / 電離断面積 |
Research Abstract |
現在まで、この電子-イオン衝突実験専用の大強度イオン源を開発し、またノイズに強いタンデム型の静電型の放出電子分光器も独自に開発し研究を進めている。大強度イオン源は実績として以下のような性能が得られ、十分交差ビーム実験に耐えうるビーム強度となった。 エネルギー33keV、ビーム径2mmφ、イオン種Ar^+,Kr^+,Xe^+、ビーム強度〜500μA。 放出電子分光装置はドップラーフリーの0度方向タンデム型静電アナライザーであり、一段目は平行平板型の分析器で入射イオンと放出電子を選別し、二段目の疑似半球型アナライザー(軌道半径104mm)で放出電子のエネルギー分析を行う。この二段の分析装置をシンクロさせ減速スキャン法でエネルギースペクトルを得る。現在まで電子-Ar,Kr,Xe原子衝突におけるLMM,MNN及びNOO Augerスペクトルの観測に成功し、この電子分光装置の性能評価を行った。装置の分解能は実測で50〜100meV程度であり設計通りの性能が出ていることが確認され、十分電子-イオン衝突実験に耐えうることが確認できた。 次にこの電子-イオン衝突研究において成功の是非を握るのが、イオンビームが作る空間電荷である。通常交差ビーム実験でのイオンビーム強度はせいぜい数μA程度で、そのイオンビームが作る空間電荷は数十meV以下である。放出電子はこの空間電荷を感じながら放出されるため運動エネルギーがこの空間電荷でぼやけてしまうが、装置の分解能(50〜100meV)に比べ十分小さいので問題にはならない。しかし我々のように数百μAという高強度イオンビームを用い場合、もはや空間電荷は無視できなくなり数eVにも達する。このままでは放出電子分光は不可能である。我々はこの困難を克服するためイオンビームの空間電荷を打ち消す試みを行っている。一つは、衝突領域のすぐ上流でイオンビームに熱フィラメントを近づけ熱電子シャワーを供給しビームを中性化させる方法である。またもう一つの方法は、衝突領域のイオンビーム中に同心円のタングステンフィラメントで作ったコイルを挿入し、そこにイオンが作る電場と反対の電場を作りキャンセルさせるという試みである。この場合イオンビーム自体が2〜3mmφしかないので、数十ミクロンのタングステンワイヤーを2mmφ以下のコイル状にしなくてはならず、非常にむずかしい技術である。現在まで我々は、電子-Ar,Kr,Xe原子衝突におけるAugerスペクトルを見ながらイオンビームを入射しピークの広がりやシフト量を測定し空間電荷効果を観測する手法を確立した。これにより現在我々は、上述の二つの手法が有効であるか実験を繰り返しており、有効な手法が確立次第、電子-イオンの放出電子分光を行いたいと考えている。
|
Research Products
(3 results)
-
-
[Journal Article] Total Electron Transfer Cross Sections for Highly Charged Ion - Alkali Metal Atom Collisions2005
Author(s)
H.A.Sakaue, K.Hosaka, H.Tawara, I.Yamada, N.Nakamura, S.Ohtani, A.Danjo, M.Kimura, A.Matsumoto, M.Sakurai, M.Yoshino
-
Journal Title
J. Plasma Fusion Research (to be published)
-