2005 Fiscal Year Annual Research Report
人工ダイヤモンド放射線検出器の温度依存性および放射線耐性についての研究
Project/Area Number |
16540365
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
内堀 幸夫 独立行政法人放射線医学総合研究所, 宇宙放射線防護プロジェクト, 研究員 (50342879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 利介 神奈川大学, 工学部, 専任講師 (40202006)
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Keywords | ダイヤモンド検出器 / 放射線 / 放射線耐性 / 重イオン |
Research Abstract |
高温高圧法で作製された人工ダイヤモンド素子により放射線半導体検出器を製作し、その放射線耐性および温度耐性を調査した。 まず、これらのダイヤモンド素子を放射線検出器として使用できるように化学的な処理を行い、半導体検出器とした。すなわち、有機洗浄および酸洗浄して、さらに、オーミック接触面を形成するために、DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)をつけ、ダイヤと電極となる金属との結合を容易にし、オーミック接触面をもつ固体検出器として製作した。 このようにして製作された、ダイヤモンド検出器のエネルギー分解能および漏れ電流をまず検査し、基礎データとした。この時、温度特性を調べたが、温度変化システムの部分からのノイズの混入が落ちきらず、室温の変動以上のデータは今のところが取れていない。 上記計測後、そのダイヤモンド検出器を放医研HIMACの重イオン加速器において、低エネルギー陽子線および高エネルギー炭素線を照射し、その応答を調べた。まず、6MeV/uの陽子線ビームを約3×10^<13>個照射した。その後、Am241によるα線を照射しながら、そのエネルギー分解能を調査した。その結果、ノイズが増えてはいるが、照射前と同様にピークが検出された。よって、検出器としての性能は幾分劣化したが、深刻な損傷がおきていないと判断できた。 次に、430MeV/uの炭素線ビームを照射した。この実験では、ある時間大気中で照射した後に、照射室外の真空チェンバーにダイヤモンド検出器を設置して、Am241のα線に対するエネルギー分解能を調べた。結果として、照射前と比べてまったくエネルギー分解能が変化しておらず、ノイズも照射前と同様に小さかった。この実験での照射線量は2.2×10^<11>個、3.3×10^3Gyであり、シリコン半導体検出器で予想される放射線損傷閾値(α線で約10^<11>個)をこえており、放射線耐性は非常によいことがわかった。 先の陽子線と炭素線、それぞれの照射で使用したダイヤモンド検出器は異なり、製造方法も微妙に異なる。後者のエネルギー分解能は非常によいことから、このシリーズのダイヤモンド検出器が有望であることがわかった。製造方法がことなることから、後者の素子および製作方法がより望ましいことがわかり、今後のダイヤモンド検出器の展開に非常に役立つ情報が得られた。
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