2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540367
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 洋介 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10192428)
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Keywords | 統計熱力学 / 平衡定数 / 液体論 / 流体 / 二酸化窒素 / 四酸化二窒素 / 混合溶媒 / 溶媒効果 |
Research Abstract |
二酸化窒素(以下NO_2)の精製法を確立し、数種の溶媒について所定の濃度のNO_2と四酸化二窒素(以下N_2O_4)の平衡混合物の調整が可能になった。今回の補助金で導入した振動型密度計で、NO_2-N_2O_4溶液の密度が問題なく測定できることを確認し、予備的な実験の結果、20℃におけるN_2O_4の部分分子容が四塩化炭素中では67cm^3 mol^<-1>、シクロヘキサン中では75cm^3 mol^<-1>1と、無極性溶媒中でも10%のちがいがあることがわかった。四塩化炭素中とシクロヘキサン中でNO_2の二量化の平衡定数がほぼ同じとする報告があるが、その背景はさらに検討される必要がある。現在、従来の磁化測定によるものよりさらに低濃度条件でのNO_2の二量化平衡定数を決めるため、紫外可視領域の光吸収による平衡測定を準備している段階である。予備実験から340nm位近の主としてN_2O_4に由来する吸収と、450nm附近のNO_2の吸収から平衡定数が決められることは分かっている。溶存する水によると思われるNO_2-N_2O_4のゆっくりとした分解を防ぐ手法が確立できれば、混合溶媒での二量化平衡定数の溶媒組成依存性を高精度に決めることができるものと期待している。また圧力下の実験のためステンレス製の容器で予備的な実験を行ったがNO_2-N_2O_4と反応するらしく、チタン製のものを使用することを検討中である。 理論的な検討の面では、2成分混合流体中の2量化平衡定数の溶媒組成依存性に対する簡単化したモデルの構成に成功した。このモデルではわれわれが以前、低中密度流体中で実験的・理論的に見出した非単調な密度依存性に相当するものが、非単調な組成依存性として現れる。このモデルの妥当性が実験的に検証きれるかどうか、興味を持っているところである。
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