2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540370
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
町田 光男 九州大学, 大学院理学研究院, 助教授 (40201769)
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Keywords | ガラス転移 / プラスチック結晶 / 配向グラス / 回転ダイナミクス / MDシミュレーション / NMR / 1-シアノアダマンタン |
Research Abstract |
C_<3v>の対称性を持つ1-シアノアダマンタンC_<10>H_<15>CNは、プラスチック相において分子の重心に関する併進対称性を保ち、分子主軸まわりで回転しながら[001]及びそれに等価な6つの配向間を飛び移る無秩序な状態にある。プラスチック相の1-シアノアダマンタンをガラス転移点T_g=170K以下にクエンチすると、併進対称性を維持した状態で分子配向がランダムに凍結した配向ガラス相へと転移する。この物質のプラスチック相と配向ガラス相のダイナミクスを核磁気共鳴(NMR)、分子動力学(MD)シミュレーションで調べ、ガラス形成の起源を探ることを本研究の目的とする。 ^<13>C核のNMRから、配向ガラス相においても分子は主軸(C_3軸)のまわりで回転(1軸回転)しており、この回転運動の活性化エネルギーはプラスチック相における回転運動の値と比較すると、有意に小さいことが分った。これはガラス相において一軸回転の相関時間に分布があることを示す。Davidson-Cole型を仮定して解析した結果、相関時間の分布を表すパラメータβは0.21と求まり、1軸回転の相関時間の分布が非常に大きいことが分かった。また、プラスチック相では分子は<001>とそれに等価な方向の6配向運動をしており、準安定相は疎その配向運動に<111>の8は配向運動が加わることが分った。さらに、準安定相は約1時間で秩序相へ構造緩和することも確定した。 MDシミュレーションでは、プラスチック相における<001>の6配向運動の相関時間には分布があり、配向運動の相関関数stretched exponentialでフィットできることが分った。また、6配向運動の相関時間の分散を調べた結果、プラスチック相の高温域では分散はそれ程顕著ではないか、温度の低下と共に大きくなる傾向があることか分った。特に、q=(1/2,1/2,0)において配向運動の相関時間が長くなる結果が得られており、これは[110]方向で分子が反強誘電的な配列をとる確率が高いことを表していると考えられる。
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Research Products
(6 results)