2006 Fiscal Year Annual Research Report
吸収/発光時間分解スペクトルの同時測定によるホタルの生物発光反応初期過程の解明
Project/Area Number |
16540371
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
和田 直久 東洋大学, 生命科学部, 教授 (20120355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 泰彦 東洋大学, 工学部, 教授 (80134500)
田中 正俊 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (90130400)
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Keywords | ホタルルシフェリン / 酸素添加酵素 / ケージドATP / ジオキセタノン / 生体エネルギー変換器 / 酵素反応ダイナミックス |
Research Abstract |
本研究の目的は、ホタルの生物発光反応初期過程で見出しうる短寿命中間体を検出するための実験系を開発し、"化学→光エネルギー変換機構"の特徴を分光学的に解明することである。18年度は本プロジェクトの最終年度であり、前年度までに明らかとなった問題点を解決し当初の目標を達成することであった。この間、京大のKatoらによってゲンジボタルルシフェラーゼ結晶の3次構造がネーチャー誌に掲載された。その結果、活性中心の構造変化を量子化学計算によって明らかにするための端緒につけたことが、最終年度の1つの成果である。また、横浜国立大学のTanakaが光物性物理の専門家として本プロジェクトに参加し、ケージドATP(CATP)を用いた実験系に適切な装置を新たに組み立てて初期のデータを得ている。以上の成果は、18年10月に生物/化学発光国際会議(サンディエゴ)で発表され、19年度中には単行本に掲載されることが決定しているが、それぞれの成果の要旨を述べる: 1)新たに見出された金属イオンK^+のホタルルシフェリン(Ln)化学発光に対する効果: 脱酸素DMSOにLnを溶かして、t-BuOKを加えるとLnの特定の原子サイトが脱プロトン化される。そこへ酸素を通気すると化学発光するが、K^+の効果を18-crown-6を用いて発光強度の時間依存性を測定し調べた。その結果、18-crown-6の濃度を上げると発光強度が減少することを初めて観測した。 2)ゲンジボタルルシフェラーゼの活性中心を考慮した量子化学計算: 京大の結晶構造データを用いて、酵素・基質ドッキング操作の組み込まれたScigress Explorerで活性中心にLnやそのアナログが配置した初期構造のシミュレーションを行い幾つかの特徴を得た。 3)CATPの光分解反応で誘発される生物発光反応の特徴: CATPをYAGレーザー(355nm)で光分解してATPを瞬時に生成し、発光反応を開始させミリ秒時間域の発光強度の時間変化を測定した。その結果、減衰曲線は2相性のパターンを示し、pHを変化させると、その一方の成分の減衰定数がpHの増加と共に増加することを初めて見出した。
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Research Products
(1 results)