2004 Fiscal Year Annual Research Report
β構造を主として有する蛋白質フォールディングの初期事象
Project/Area Number |
16540373
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
木原 裕 関西医科大学, 医学部, 教授 (20049076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 正之 関西医科大学, 医学部, 講師 (20148555)
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Keywords | フォールディング / β構造 / SH3ドメイン蛋白質 / フォールディング中間体 |
Research Abstract |
蛋白質は特定の道筋を通ってフォールドする(Levinthalのparadox)。したがってフォールディング研究の第一の目的は,その道筋を明らかにすることである。 我々はクライオストップトフロー法により,X線溶液散乱,円偏光二色性,蛍光をプローブとして用い,蛋白質の2次構造,コンパクト化の時間的経過を直接測定する方法を開発し,それを用いて,現在までに主にαヘリックスからなる蛋白質(アポミオグロビン,lambda repressor)のαヘリックス形成速度を測定してきたが,これは我々の現在の方法では測定できないほど速い。一方,β構造を主として持つ蛋白質の場合には,β構造が形成される前にαヘリックスの形成が観測される蛋白質が見つかってきた。もしこれが一般的に言えれば,従来の蛋白質フォールディングの主描像を書き換えることになる。本研究は,最もαヘリックスができそうにない蛋白質であるSH3ドメイン蛋白質を用いて,フォールディング中間体の研究を行うことを目的として行っている。 (1)野生株および3種類のミュータントのSrc SH3ドメインの大量培養を行い,そのフォールディング実験を行った。既に予備的実験で得られていたとおり,src SH3ドメイン蛋白質は,4℃で最初の中間体としてαヘリックスを多く含む中間体を作ることが発見された。中間体では,全アミノ酸の25%ぐらいがαヘリックスに含まれる。同じ現象は,fyn SH3でも観測され,SH3蛋白質では一般的現象であることがわかった。現在2種類の変異体を大量培養して,アミノ酸の置換によって,この中間体がどのように変化するかを調べているところである。
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