2006 Fiscal Year Annual Research Report
深発地震のメカニズム:スラブの変形と物理過程の数値シミュレーション
Project/Area Number |
16540388
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中久喜 伴益 広島大学, 大学院理学研究科, 助手 (10263667)
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Keywords | 深発地震 / スラブ / 沈み込み帯 / 応力場 / レオロジー / 数値シミュレーション / マントル対流 |
Research Abstract |
本研究の目的は、深発地震の数値シミュレーションに向けスラブの変形機構と様式について明らかにすることである。本年度は昨年度までに開発した自発的沈み込みモデルを用いて、スラブの応力場とそれを決定するメカニズムについて研究した。我々の沈み込みモデルでは、これまでのスラブモデルと比較してアーレニウス型の温度依存性を用いるなど、現実に近いレオロジーを用いていることが特徴である。本年度は、(1)マントル粘性率の層構造の影響(2)660km相転移に伴う結晶軸粒化の影響、について研究した。その結果、下記のようなことが明らかにされた。(1)スラブは有限の厚さを持つ板であるため、スラブの曲がりが応力場に強く影響する。(2)(1)の結果、相境界の浮力のみでは遷移層スラブに見られるdown-dip compressionのみの応力場を実現することは難しい。(3)粘性率が660km境界で10倍程度増加する場合には、down-dip compressionのみの応力場を実現することが可能である。(4)(3)に加えて、滞留スラブ内の応力も小さくすることが出来る。これは多くの滞留スラブで地震が起きていないことを説明する。ただし、これは、伊豆小笠原やニューヘブリデス沈み込み帯に見られる孤立深発地震を説明できない。(5)ただし、粘性串の増加はプレート運動強い影響を与え、現在のプレート速度を説明するためには、マントル遷移層内での結晶軸粒化など、スラブの強度を低下させるメカニズムが必要である。(6)660km境界での相転移は下部マントルにおけるスラブの応力場に強い影響を与えるが、プレート運動の速度にはあまり強い影響を与えず、速度が増加しても2倍程度である。
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Research Products
(2 results)