2004 Fiscal Year Annual Research Report
波形トモグラフィーのための超高速地震波動計算法の開発
Project/Area Number |
16540389
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹中 博士 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (30253397)
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Keywords | 地震波動 / 計算法 / 差分法 |
Research Abstract |
地震波の波線理論に基づく走時トモグラフィーは,原理的に緩やかに変化する速度構造については適用可能であるが,急激な構造変化を検出する問題には適用できない.構造が急変する場所(不連続面や層境界や薄い構造など)やその物性値を正確に推定するには,波形を用いる波型トモグラフィーが有効と考えられている.しかし,波型トモグラフィーのためには,3次元地震波動場の数値シミュレーションを非常に多数行わなければならず,従来の計算法を用いる限り,たとえスパコンを用いても実記録の周波数帯まで扱うのはとても無理である.そのため,波型トモグラフィーはその有効性が確かであるのも関わらず,実記録に適用されて成功した例はまだない.本研究の目的は,このような波型計算の困難を克服する超高速地震波動計算法を開発することである. 以前人工地震用に開発した円筒座標系を用いた超高速波動計算手法であるQuasi-cylindrical Approachを深い自然地震にも適用できるように球座標系に拡張したQuasi-spherical Approachを新たに考案し,軸対称震源用(P-SV用)の差分スキーム及び計算コードを開発した.差分計算精度のチェックのために,球対称地球モデルについて最も良い精度を解を与えるDSM解と比較し,十分な精度が得られていることを確認した.さらに,マントルの660km不連続面を突き抜けているスラブモデルと,この不連続面付近で滞留せいているスタグナントスラブモデルについてP波震源を用いたシミュレーションを実施し,2つのスラブモデルの違いの違いの効果が顕著に現れるフェイズを固定した.以上の結果は平成16年12月に行われた米国地球物理学連合の秋季大会で発表した.
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