2004 Fiscal Year Annual Research Report
理想的状況下での海洋循環と中規模渦の役割に関する研究
Project/Area Number |
16540393
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保川 厚 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (00178039)
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Keywords | 海洋循環構造 / 西岸境界流 / 季節変動 / 海底地形 / 海洋中規模渦 / 海洋混合層 / 混合層前線 |
Research Abstract |
理想的状況下での海洋循環構造とそれに及ぼす季節変動、海底地形、並びに中規模渦の影響を明らかにしていくために、今年度は、(1)陸棚地形が存在する海洋の季節変動強制への応答、(2)海洋循環構造の決定おける中規模渦の役割、(3)海洋上層混合層分布の決定とその海洋構造への影響、に関する数値実験および理論的考察を行った。(1)に関しては、熱的強制のないモデル設定の下、海面風応力を季節変化させて調べた。その結果、順圧応答が陸棚上に侵入出来ないために西岸境界流の幅が季節変化し、その幅に基づく年平均流量は年平均Sverdrup流量よりも多くなることが示された。これは近年の東樺太海流の観測と整合する.(2)には高分解能3層準地衡流モデルを用いた。この場合、黒潮続流に対応する強い流れが西岸境界流の続流域に生じる。この続流ジェット形成機構として渦による運動量集中の重要性はこれまでも言われていたが、時間平均流の非線形性との相対的な重要度は明確ではなかった。これを明確にするために西岸境界流による渦位輸送と渦による渦位輸送の関係から中規模渦の重要度を調べた。解決すべき問題はあるが、この方向で理論を進展させられるであろうという感触を得た。(3)は、海面水温が南北勾配を持つときの海洋循環構造に重要となる混合層前線の形成に関する研究である。これに関しては研究代表者のグループで以前より研究を続けてきているが、今年度は、定常強制場での理論を精密化するとともに、季節変動する強制場での実験を行った。定常強制の場合には海面水温と表層地衡流場から混合層前線の位置が決まり、またそのことと低渦位水のサブダクションが関係する。季節変動がある場合には、一見したところでは同じような関係は見出せない。しかし、より詳細な検討の結果、定常強制の場合と同様の考え方で季節変動場も理解できるであろうことが分かってきた。
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