2004 Fiscal Year Annual Research Report
北半球環状モードの季節変化とその季節間の相関の実態解明
Project/Area Number |
16540394
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 孝治 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (70270791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小木 雅世 地球フロンティア研究システム, 水循環研究領域, 研究員 (50392957)
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Keywords | 北極振動 / ストームトラック / 主成分分析 / 異常気象 |
Research Abstract |
北極振動または北半球環状モード(Northern Hemisphere annular mode : NAM)は冬季北半球で卓越するモードであるが、その季節変化は十分調べられていない。当研究では、客観解析データを用いて、北半球の月平均・帯状平均高度場の主成分分析を各月ごとに行うことによって各月ごとに卓越する環状モードを抽出した。それにより夏季のNMAは冬に比べて南北スケールが小さく北極側にシフトしており、対流圏に閉じられたモードであることがわかった。冬のNAMが正のときは日本付近で500hPa高度の正偏差となり暖冬となるが、夏のNAMが正のときはオホーツク海北部で正となりオホーツク海高気圧が発達し、日本ではやや冷夏傾向となる。 夏季のNAMは平均場と波の相互作用によって維持されていることが、力学的解析によって明らかになった。夏のNAMが正のときは、北極海とそれを取り囲む大陸の間で下層大気の南北温度傾度が強くなり北極海沿岸の西風が強まり、亜熱帯ジェットとともにダブルジェット構造をつくる。北極海沿岸のジェットではストームトラックが存在し、これに伴う擾乱がジェットを強める働きをしている。 Ogi et al.(2003a,2003b)で示された冬のNAOと夏の循環との相関は、冬の卓越モードであるNAM/NAOと夏の卓越モードである夏のNAMの間の遷移であると解釈される。この冬のNAMと夏のNAMの相関は太陽活動の11年周期に伴い変調し、太陽活動が活発な年に強く、不活発な年は有意な相関はない。 2003年夏は欧州で猛暑、日本で冷夏であったが、このときの夏のNAMは大きな正であった。2003年夏の異常気象はNAMが大きな正であったことの反映である。
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Research Products
(4 results)