2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540397
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
遠藤 修一 滋賀大学, 教育学部, 教授 (30111884)
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Keywords | 河川水 / 物質循環 / 琵琶湖 / 密度流 / 電気伝導度 / 溶存酸素 |
Research Abstract |
本研究では,琵琶湖に流入する主要な河川を対象として,水文・水質観測を継続実施するとともに,琵琶湖の水質や湖流を連続的に測定することによって,河川水の水質・流量の季節変化,河口域及び湖内における河川水の分散過程,さらには河川によってもたらされる溶存・懸濁物質の挙動について定量的な把握を行った。特に,琵琶湖に流入する河川水の中で最大の流域面積を有する野洲川の河口域を対象として,水質プロファイラ(クロロテック)による水温・電導度・濁度・クロロフィルa,溶存酸素の三次元分布を測定するとともに,自記流向流速水質計,自記濁度計などの係留系を展開し,現在稼働中であるテレメータブイ(気象・水質・湖流)の連続記録と併せて,物質の動きを時間的に連続して追跡した。 その結果,野洲川河川水の水質には明瞭な日変化と季節変化が存在し,特に大雨後には,まず河床堆積物の掃流(wash out)による電導度の上昇がみられ,その後の流量増加とともに,濁度は高いものの電導度の値は低下することがわかった。したがって,電導度や濁度をトレーサーとして河川水の分散を議論する場合には,初期流出の影響を考慮する必要がある。 年間を通した水質観測によって,成層期の電導度は水温躍層以浅では低く、躍層以深で高くなり、そして湖底付近では再び低くなるという傾向がみられた。これは,河川水が水温躍層付近に貫入するためであると考えられる。また,冬季の北湖南部では深さ20mから40mにかけて溶存酸素濃度が非常に高くなった。これは、酸素を多く含んだ冷たい河川水の流入(密度流)の影響ではないかと考えられる。2004年10月の台風23号により増水した野洲川の河川水は、野洲川河口沖2kmまでは約5cm/secで、さらにそこから2km沖までは約3cm/secの速さで流入した。なお,流入河川水は,河軸の延長方向ではなく,やや右側にずれて移動する傾向があり,密度流に作用するコリオリ力が無視できないことを意味している。
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