2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540400
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 久徳 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80112100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣岡 俊彦 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90253393)
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Keywords | 対流圏・成層圏相互作用 / プラネタリー波 / 卓越モード / 北大西洋振動 / 太平洋・北アメリカパターン / 環状モード / 低周波変動 / 帯状非一様基本場 |
Research Abstract |
まず数値モデルを作成した。数値もモデルの基本方程式は線形バランス方程式である。鉛直方向には500hPaから0.5hPaまでを20層に離散化し,水平面ではスペクトル法を用い,切断はT15,またはT21である。2つの数値モデルを作成した。ひとつは定常モデルである。これは基本場と波(偏差場)との相互作用を調べるためのもので,方程式を波に関して線形化している。移流項の計算は相互作用係数法を用いた。第二に,太平洋・北アメリカパターン(PNA)から環状モード(AM)へのつながりを調べるため,時間積分モデルを作成した。初期場は帯状非一様である。これらのモデルに下部強制としてPNAを入れて,波の鉛直伝播とその振る舞いを調べることになる。 帯状非一様な基本場は,NCEP/NCAR再解析データとMet Office データ(10hPa以上)を用い,1月の長期間平均として作成した。下部強制に用いるPNAは,500hPa面の月平均偏差場を用いて,回転EOFによって作成した。 定常モデルの結果は以下のことを示す。PNAが成層圏へ伝播し,波数1パターン(W1)へと変化していることが分かった。また帯状平均場を基本場とすると,このような波数変化は生じず,成層圏で波数2が卓越した。従って帯状非一様基本場とPNAが相互作用し,W1が生成されていると結論できる。また帯状平均からの偏差として波を定義し,Eliassen-Palmフラックスを計算すると,対流圏では波数2が,成層圏では波数1が卓越していることも確かめられた。さらにこのようになる力学的基礎についても検討を加えた。 次に,時間積分モデルの結果を示す。一方の位相のPNAを下部強制として用いた場合,成層圏ではW1の卓越の後に,AMの一方の位相(降温現象)が生じた。また逆の位相の場合には,成層圏でのW1の卓越後,AMの逆の位相(突然昇温)が生じた。これらの結果はItoh and Harada(2004)とよく一致しており,対流圏でのPNAの発達が突然昇温を引き起こすことが示された。また比較実験として,下部強制にPNAの位相を経度方向に回転させたもの,PNA以外のパターンを用いた実験を行った。これらでは,PNAを用いた場合に比べて,成層圏での変化は小さかった。さらに帯状平均場を基本場としてシミュレーションを行っても突然昇温は起きず,成層圏の帯状非一様基本場との相互作用の重要性を示している。
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Research Products
(1 results)