2005 Fiscal Year Annual Research Report
バンコク湾における海色衛星データを用いた懸濁物質濃度等の推定
Project/Area Number |
16540404
|
Research Institution | Tokai university |
Principal Investigator |
虎谷 充浩 東海大学, 開発工学部, 助教授 (90246075)
|
Keywords | 海色 / リモートセンシング / 大気補正 / 吸収性エアロゾル / 懸濁物質濃度 / バンコク湾 / 植物プランクトン |
Research Abstract |
沿岸域における海色衛星データを用いた河川から流入する無機懸濁物質、海中のクロロフィル-a濃度の分布について海色リモートセンシングの技術を用いて精度よく推定する手法を確立することを目的として研究を行った。まず、沿岸域における海色リモートセンシングの吸収性エアロゾルによる補正手法について検討した。放射伝達シミュレーションの結果、吸収性エアロゾルの影響を評価したところ、吸収性エアロゾルは短波長側ほど影響が大きいこと、吸収性エアロゾルの混合比が大きいほど影響は大きいことが確認された。そこで、紫外域に近い波長を用いて吸収性エアロゾルの補正する手法を開発した。次に、懸濁物質濃度における大気補正手法について、田中ら(2004)の水中光学モデルを使って近赤外域の海水射出反射率を懸濁物質の関数として表すことにより対応した。その結果、懸濁物質濃度が1ないし4g/m^3程度の海域では、計算可能であり、現場観測値との比較では、衛星から推定されたクロロフィル-a濃度の絶対値には誤差があるが、相関は高いことが確認された。一方、高懸濁物質濃度の海域(>7g/m^3)では、クロロフィル-a濃度や懸濁物質濃度といった値を推定することができず、現在の大気補正処理手法では不十分であることがわかった。船舶観測データと同時観測した衛星データを使ってマッチアップ解析した結果では、大気補正のうまくいかない高懸濁物質濃度海域を除けば、クロロフィル-a濃度推定において標準のアルゴリズムやニューラルネットワークを使ったアルゴリズムに比べて、バンコク湾に特化したアルゴリズムが最もよい結果(相関係数R=0.964)を得た。懸濁物質濃度推定については、バンコク湾に特化した経験的アルゴリズムは全懸濁物質濃度の測定にばらつきが多いことから、推定精度がまだ不十分である。また、ニューラルネットワーク・アルゴリズムは絶対値、相関ともに改善の余地が残されている。
|