2004 Fiscal Year Annual Research Report
琵琵湖の古環境プロキシ(指標)と測器データとの対応をもとにした古環境変遷史解読
Project/Area Number |
16540419
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井内 美郎 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (00294786)
|
Keywords | 琵琶湖 / 堆積物 / 古気候 / 気象観測データ / 地球環境 / 地質学 / 第四紀学 / 陸水学 |
Research Abstract |
琵琶湖で採取された高島沖ボーリングコア試料の分析結果と彦根測候所の気象データとの相関を明らかにする目的で、琵琶湖内の4カ所において新たに柱状試料を採取した。 採取した試料について、測色・含水率測定・帯磁率測定・粒度分析・密度測定を実施した。 堆積速度測定と密度測定は同一の試料を用いるため、堆積速度は暫定的に同一地点で以前に採取された試料の鉛-210の濃度より求められた値を使用して堆積年代を推定した。 測候所の各種測定値と深度軸を年代軸に変換させた各種分析値との相関を求めた結果、堆積物粒度と年間平均風速との対応が最もよいことが明らかになった。さらに検討を進めた結果、夏季、とくに7・8月の平均風速との相関がよいことが明らかになった。 湖底堆積物の粒度が示す内容としては、密度との相関がよく、さらに生物源シリカとの相関がよいこと、スメアスライド観察の結果、低密度の堆積物には珪藻殻が多く観察され、高密度の堆積物には珪藻殻が多くないことから珪藻の増減と関係していることが明らかにされている。そこで作業仮説として、以下のようなモデルを考えている。 琵琶湖は夏季に温度成層が発達する。この時期、表層水はプランクトンの増殖によって燐が利用され、燐が欠乏するが、温度躍層より下位にはやや燐に富む湖水が存在している。夏季に平均風速が増すことによって表層水の攪拌が進み、温度躍層より下にある湖水の燐が表層水に供給される。その結果、珪藻が繁殖し、沈降粒子の粒度が増大する。 現在、表層堆積物の分析結果と測器データとの対応を究明しているが、同時に高島沖試料の検討も進めている。また、バイカル湖の分析結果も検討しており、最終的には表層部で解明された結果をもとに掘削試料のデータの解析も進むはずである。 研究成果は、3つの査読論文として発表され、さらに1編も今年印刷される予定である。
|
Research Products
(4 results)