2004 Fiscal Year Annual Research Report
後期古生代石灰岩中に見いだされた埋没パレオカルストの研究
Project/Area Number |
16540430
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Research Institution | Institute of Natural History |
Principal Investigator |
猪郷 久義 財団法人自然史科学研究所, 所長 (20015572)
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Keywords | 後期古生代 / 炭酸塩岩 / パレオカルスト / 続成作用 / 膠結作用 / フズリナ殻 / 化石層序学 / 石灰岩微岩相 |
Research Abstract |
日本列島の後期古生代の代表的な層序断面の一つ,北上山地坂本沢層とその上位の叶倉層の間にある埋没パレオカルストの存在を,炭酸塩岩中に見られるの膠結化とフズリナ殻の続成作用との関係から解明した.フズリナ殻中にはて低マグネシア方解石,あるいは透明質ドロマイトによる充填作用が見られ,.これが更なる続成作用の過程で脱ドロマイト化作用を受け,方解石に置換されているものが確認された.これは淡水域の地下水面下,さらに陸上での陸水による続成作用を受けた産物と解明された. 栃木県葛生地区では後期古生代の埋没パレオカルストの堆積物の解析を行い,微細な葉理中に特異な黒雲母片を多く含有する淡水制限水域下の堆積物であることが判明した.これをさらに堆積岩石学的に検討し,当時の後背地の気候状態や海水面変動のリズムなどを解明できる資料を得ることができた. 岐阜県高山市丹生川地域の石灰岩中に見いだしたフズリナ殻と特異な石灰岩膠結作用は,この岩石の続成作用が地下水面より上の通気帯で進んだ事を明示し,パレオカルスト作用の存在とフズリナ殻の集積の変遷などが解明された.この通気帯炭酸塩岩堆積物中には変成岩礫の存在も確認され,当時の陸域の地質学的な状況が明らかになった. 同じく高山市福地地域の埋没パレオカルストの更なる解明を,野外調査地域を広げて行い,さらに多くの層準でパレオカルスト堆積物を採集し,室内実験でその詳細な解析を行い,堆積岩石学的な特徴を把握することができた. さらに古くインドネシアチモール島やトルコなどで採集したフズリナ石灰岩の微岩相の観察から,フズリナ殻の化石続成作用を解析して,これらの化石の陸上風化とそれに伴う続成作用の進展などを明らかにする手法を得た.
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Research Products
(1 results)