2005 Fiscal Year Annual Research Report
後期古生代石灰岩中に見出された埋没パレオカルストの研究
Project/Area Number |
16540430
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Research Institution | Institute of Natural History |
Principal Investigator |
猪郷 久義 (財)自然史科学研究所, 所長 (20015572)
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Keywords | 後期古生代 / 炭酸塩岩 / パレオカルスト / 続成作用 / バイオストラトノミー / タホノミー / フズリナ化石 |
Research Abstract |
前年度から継続研究の北上山地南部の岩井崎石灰岩ならびに気仙沼地域での埋没カルストにその起源が求められるフズリナ化石,通称松葉石のバイオストラトノミーの解析を行なった.その結果このフズリナ化石の古生態に関する資料が多数蒐集された.この化石は死後その殻は淡水と海水が混合するようなリトラルな潟で,再度続成作用を受けたことが明らかになった. 岐阜県赤坂石灰岩では最上部ペルム系のドロマイト質石灰岩とその直下付近の黒色石灰岩の層位学的研究を詳細に行い,大型二枚貝のシカマイの古生態に関する新しい資料を得た.これらは海水準変動を解く鍵を提供する.また逆に極めて微細な巻貝化石が密集して産する層準が確認され,炭質物に富んだ黒色石灰岩を伴う.これも石灰岩の堆積環境の復元に役立つ新たな資料である. 栃木県葛生石灰岩,隣接する群馬県桐生地域での石灰岩の堆積環境も,フズリナ化石のバイオストラトノミーを解析することによって,従来の大方の考えの堆積環境ならびに付加様式を再検討する必要がある新知見を得ることが出来た.また同地域での群体ルゴーサ・サンゴの埋没状態も再堆積を明示しており,総括的に含有化石すべてについてタホノミーの検討が必要であることが判明した. 岐阜県飛騨地方の石炭系,ペルム系にも少なくとも3層準に海退による堆積のブレークが確認され,それぞれパレオカルストに起源のある堆積層が確認され,同時に瀕海層ならびに陸成層の堆積が認められた.これらはいずれも世界各地で認定されている海水準変動に対比され,化石のみならず国際的な対比にも用いられると見られる. 上記の研究成果は随時,学会での口頭発表ならびに論文として公表する予定である.
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Research Products
(2 results)