Research Abstract |
1)セジメントトラップ試料の分析 海洋構造解析データとこれらの円石藻データとの関係を明らかにして,同時間での異なる深度間での比較から群集がどのくらい変化しているのか,あるいは共通性があるのかを解明するために,シャツキーライズ近海に1998年8月〜1999年7月にかけて約1年間係留された深度約1,000mと約4,000mの二つの深度のトラップ試料について,円石藻のフラックスと構成種の季節変化を分析した. その結果,浅層トラップは,円石藻フラックスのピークは,1998年12月および1999年1月であったのに対して,深層トラップは,1999年5月〜6月と1998年11月にピークがみられた.一見すると両トラップの円石藻フラックスの変動パターンは,逆相関をしていた.一方,各トラップの円石藻群集パターンは,比較的類似しており,浅層と深層との間で粒子の移流が考えられるものの,その群集としては,表層海域を反映した結果であった. 2)海底堆積物試料の分析 シャツキーライズで採取された海底表層堆積物試料について,石灰質ナンノ化石群集解析を行うとともに,堆積物への化石としての保存状態について,各種の選択的溶解の程度について詳細に観察を行った.その結果,炭酸塩の溶解に強い寒冷種の頻度がトラップ試料での頻度より10倍近く増加していた.さらに,この海域で最も産出量の多いものの,溶解に弱い種はトラップ試料に比較してその割合が減少していた.一方,温暖種は,比較的に保存状態はよく,トラップ群集とほぼ同様の占有率であった.
|