2005 Fiscal Year Annual Research Report
火星隕石の希ガス同位体比測定に基づく火星と地球の脱ガスの対比研究
Project/Area Number |
16540444
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Research Institution | Graduate School of Science, The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長尾 敬介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40131619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角野 浩史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90332593)
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Keywords | 希ガス同位体 / 火星隕石 / シャシナイト隕石 / ナクライト隕石 / シャーゴッタイト隕石 / 火星大気のネオン同位体比 / 質量分別 / Ar-Ar年代 |
Research Abstract |
惑星の大気及び内部における希ガスの元素と同位体組成は脱ガス過程解明の鍵となる。本研究では、地球について詳細に研究された大気形成モデルが地球型惑星である火星に適用できるか否かを、火星隕石に含まれる希ガス組成に基づいて検討する。新たに発見されたシャシナイトNWA2737には火星内部の情報を持つとされるChassignyと類似の太陽型Xe同位体組成に加えて、明確に異なる高い^<40>Ar/^<36>Ar比や^<129>Xe/^<132>Xe比を持つ希ガス成分が検出された。後者の希ガス同位体組成は火星大気の組成に似ているため、火星大気成分が叩き込まれたものであるとする強い意見が外国研究者から出されて議論中である。もし火星内部にNWA2737のような希ガス同位体組成も存在するなら、火星内部は不均質な同位体分布を持つことになり地球型脱ガスモデルが一部適応可能となる。NASA保有の南極産ナクライトMIL3346の段階加熱希ガス分析の結果は、400度C以下の低温と1400度C以上の高温で、他のナクライトに見られる元素的に強い分別を受けた火星大気様の希ガスに比べて、更に強く分別された希ガスが検出された。低温成分はナクライト隕石で初めての発見であり、火星表面の二種の風化物が重要な担体となっていることを示している。もう一つの重要な発見はシャーゴッタイトDho378のネオンである。強い衝撃により形成されたDho378のガラス質部分に濃縮している火星大気ネオンデータから、我々は^<20>Ne/^<22>Ne比が7.3±0.1であり、初期火星大気にあった太陽型ネオンが百万分の1程度の大きな大気損失に伴った質量分別によって生成された可能性を指摘している。Ar-Ar年代とI-Xeシステム存否の確認は数個のシャーゴッタイトについて行い、年代は他の研究者によって報告されたものと矛盾がなく、I-Xeシステムは予想通り検出されなかった。
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Research Products
(2 results)