2004 Fiscal Year Annual Research Report
高感度・高分解能測定法を用いた海洋における溶存有機態窒素の動態に関する研究
Project/Area Number |
16540445
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 浩史 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (50260518)
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Keywords | 溶存有機窒素(DON) / 溶存有機炭素(DOC) / C:N比 / 高感度・高分解能測定 / 窒素循環 / 海洋 / 元素分析 |
Research Abstract |
高温燃焼酸化-化学発光検出法による、海水中の溶存有機窒素(DON)の高感度・高分解能分析を検討し、その方法を用いたDONの詳細な分布を明らかにすることを目的に研究を実施した。2003年10月の白鳳丸KH03-2次航海において、東経165度線上のトランセクト観測を行い、緯度28-48°の間05-1度間隔で表面水を採水した試料についてDON濃度を分析、DONの南北方向の変化の特徴を明らかにすることを試みた。同時に測定された溶存有機炭素(DOC)濃度は、南側の亜熱帯循環域で高く(70-75uM)、北側で低くなる(60-65uM)のに対し、DON濃度は、南側で低く(3.5-4uM)生物生産の活発な北側で高濃度(4-5uM)となる分布を示した。その結果、溶存有機物のC:N比は、南(18-20)から北(14-16)に向けて、つまり生物生産が活発になるに従い下がる明瞭な傾向が認められ、DONはDOCに比べてより活発に代謝回転していることが示唆された。 一方、硝酸塩が高濃度で存在する海洋深層の試料のDON濃度は、全窒素から無機態窒素を差し引いてDONを求めるため、測定値の精度が悪くなることが知られており、この点を解決さるために、硝酸塩を海水中から選択的に除去する方法について検討を開始した。亜硝酸イオンは、塩酸酸性下で、蒸発乾固させることにより、一酸化窒素となってほぼ100%除去されることがわかった。現在、硝酸イオンを簡易的に亜硝酸イオンに変換させる方法について検討を行っている。
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