2005 Fiscal Year Annual Research Report
酸素負イオンの挙動に着目したスパッタ酸化膜のエピタキシャル成長に関する研究
Project/Area Number |
16540454
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
沖村 邦雄 東海大学, 電子情報学部, 教授 (00194473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 春雄 東海大学, 電子情報学部, 教授 (20034407)
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Keywords | 機能性酸化物 / ICP支援スパッタ装置 / エピタキシャル成長 / 高密度プラズマ生成 / 酸素負イオン生成 / 酸素ラジカル生成 / チタン酸化膜 / バナジウム酸化膜 |
Research Abstract |
研究計画最終年度となる本年度は,誘導結合プラズマ(ICP)支援スパッタ装置を用いて,VO_2薄膜並びに不純物ドープTiO_2薄膜の単結晶基板上への堆積・評価を実施した.また,前年度に新規導入したスパッタ装置による成膜を開始し,In-situ連続成膜による磁性材料薄膜の堆積を実施した. 内部コイル型ICP支援スパッタ装置によるVO_2薄膜のサファイア単結晶基板上への成膜では,従来の反応性スパッタ法では困難であった化学量論比VO_2の堆積に成功した.得られたVO_2薄膜は60〜70℃の温度域で高抵抗から低抵抗へと4桁の抵抗変化,いわゆる金属-絶縁体相転移を示した.この相転移は強い電子相関の効果によるものであり,温度に加えて電界や光照射等による相転移に基づくスイッチングやメモリ等の電子デバイスに応用できる可能性が高い.本研究計画において発展させたICP支援スパッタ法は広い酸素供給条件下で化学量論比VO_2の堆積が可能であり,相転移酸化物結晶作製への応用が期待される. 次に,TiO_2薄膜の単結晶基板上への成長については,ICP支援スパッタ装置によるエピタキシャル成長を前年度に示した.その良好な結晶成長を有効に利用できる新規分野として,不純物ドープによる導電性TiO_2薄膜が挙げられる.そこで,ターゲットにNbをドープしたTiO_2ターゲットを用いて成膜を行った結果,10〜10^<-2>Ωcmという純粋なTiO_2と比べると極めて高い導電率を有するTiO_2薄膜成長に成功した.成膜条件の最適化によって透明導電膜として利用できる10^<-3>Ωcmオーダーが実現できる見込みであり,化学的に安定で光学的にも特長を有するTiO_2の利用は今後の透明導電膜応用に変革をもたらす可能性がある. また,前年度の設備備品費を使用して導入したIn-situで切り換えできる2基のターゲットを有するスパッタ装置は稼動を開始し,金属Ti及びCo二層薄膜の堆積を行った.In-situ連続成膜の効果によって下地のTi薄膜上にCo薄膜が結晶成長する結果を得た.更に,酸化膜の堆積を行える段階まで到達した.今後,本装置が良好な界面特性に基づく多層エピタキシャル成長に資するものと期待される. 本研究計画の主要テーマである酸化に寄与する酸素の挙動に関しては共同研究者の進藤春雄教授と連携して進め,高密度ICP支援スパッタにおいて原子状酸素ラジカルが効率よく生成されており,且つ酸素負イオン密度も高いため,その結晶成長へ与える効果を今後詳細に調べる必要があるという成果を得た.
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Research Products
(5 results)