2004 Fiscal Year Annual Research Report
Ru錯体における電子移動と配位子の配位様式変換に伴う物性発現に関する理論的研究
Project/Area Number |
16550001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 皓 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00000860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野呂 武司 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50125340)
小原 繁 北海道教育大学, 教育学部, 助教授 (80160935)
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Keywords | Ru錯体 / 光誘起長寿命準安定状態 / 3核錯体 / 混合原子価 / 還元体安定構造 / スイッチング素子 / 記憶素子 |
Research Abstract |
[Ru(CN)_5NO]^<2->、[Fe(CN)_5NO]^<2->および[Mn(CN)_5NO]^<3->における、光誘起準安定状態と光遷移過程:光誘起準安定状態の寿命が長く、スイッチング素子、記憶素子の候補として研究される物質である。拡張基底関数系を用い、CASSCF、MRSDCI+Q計算により次のことがわかった。1)基底状態の構造は3物質ともにNOは金属に対してNからon topに配位する。2)準安定状態は3物質とも電子的基底状態において、NOがside on及びOの側からon topに配位する構造のlocal minimaである。3)Ru錯体の準安定状態の寿命がFeより長い理由はRuとNO間の共有結合性がFeの場合より強く、その結果、前者のポテンシャル障壁が高くなることによる。4)Fe、Ru錯体では低い励起状態のポテンシャル面が擬交差、円錐交差をを多数含み、これらが準安定状態への失活経路となる。5)Mnでは準安定状態が観測されないが、これは準安定状態への失活を導く経路が無いことによる。 [Ru_3O(CH_3CO_2)_6(bzpy)_2CO]^<n->(n=0,1,2)の安定構造ならびに電子構造についての理論的研究:H以外の全原子にモデルコア-ポテンシャルを用い、Ru,中心のO、COにはDZ+P基底、他には最小基底を用いた。n=0の中性体からn=1,2の還元体の安定構造を求めた。この際、Ru_3O(CH_3CO_2)_6部分はmbpy錯体での構造を仮定し、bzpyの中心部に対する相対的構造(bzpyのNとRu結合におけるbzpy分子面とRu_3とのなす角)を調べた。n=0,1ではbzpyが90度で配位する構造が安定で、n=2の場合は90度、0度がほぼ同じエネルギーで安定となり、実験から二つの構造が予想されたことを支持する。n=1では主にコアー部分に付着するが、n=2では主にbzpyが負に帯電することになる。
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Research Products
(1 results)