2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550002
|
Research Institution | Faculity of Engineering, Iwate University |
Principal Investigator |
西館 数芽 岩手大学, 工学研究科, 助教授 (90250638)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 正之 岩手大学, 工学部, 教授 (00052845)
|
Keywords | カーボンナノチューブ / Liイオン / 欠陥構造 / 第一原理 / 電子状態 / 二次電池 / 吸着エネルギー |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)はLiイオン二次電池の負極材として期待されている。本研究では、CNTのLiイオン二次電池の負極材への応用を視野に入れ、Liイオンを吸着したCNTの電子特性を第一原理電子構造計算法により調べた。計算にはPAW法を採用し交換相関項には局所密度近似と一般化密度勾配近似(PW91)を用いた。CNTの構造はカイラリティベクトル(n、m)で一意に決まる。金属的なアームチェア型と半導体的なジグザグ型のCNT、及び比較のために二次元的なグラフェンシート(グラフェン)を用い、それぞれの安定な構造、任意のナノサイズ位相欠陥を形成するために必要とされる欠陥形成エネルギー、Li吸着エネルギー、それらの電子構造について詳細に検討した。また欠陥をもつCNTへのLiイオンのインターカレーションの過程を第一原理分子動力学法により解析し、ダイナミクスに関する興味ある知見を得ることができた。本研究で得られた結論は以下の通りである。(1)欠陥が七員環から九員環へと大きくなるに従って、CNT及びグラフェン共にその形成エネルギーが増加する。(2)同じn員環の欠陥を比較した場合、CNTと比べグラフェンの場合の欠陥形成エネルギーが大きい。これは欠陥を形成する際、CNTでは歪みのエネルギーをある程度三次元的に分散することが可能なためである。(3)Liイオンの吸着エネルギーの絶対値は欠陥の存在により増加する。(4)一般に、CNTの外壁よりも内壁にLiイオンが吸着した場合が安定である。以上のことはCNTのナノサイズの欠陥構造を制御し、Liイオンの内壁への吸着をより促進させることの重要性を示唆するものである。
|
Research Products
(2 results)