2005 Fiscal Year Annual Research Report
高精度位相操作パルス磁場勾配電子スピン共鳴装置の試作
Project/Area Number |
16550003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大庭 裕範 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (10176985)
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Keywords | パルス電子スピン共鳴 / パルス磁場勾配 / 位相操作 / 誘電体共振器 |
Research Abstract |
1.共振器 不純物によるESR信号の少ない誘電体試料共振器の材料、CaO、MgOを探索し、通常用いられているものより約一桁信号強度が小さいものを選定した。これを用いて誘電率20のセラミックを焼成し、従来用いていたLoop Gap共振器とほぼ同じ大きさの共振器を試作した。 2.プローブヘッドの完成 ヘリウムクライオスタットに磁場発生用コイル、共振器を組み込み、反射特性を測定して、共振周波数、結合度の調整などを行った. 3.測定ソフトウエア 既存のパルスESRにパルス磁場用の制御パルス発生装置を組み込み、パルス磁場をマイクロ波パルスと同期して生成するための制御プログラムを作った. 4.パルス磁場の測定 実際に共振器を磁場コイル内に設置し、共振器内部に生成するパルス磁場を観測した。磁場を導入するためのスリットを入れたLoop Gap共振器では共振器壁の金属がまだ厚すぎるため、十分なパルス磁場を内部で発生できないことがわかった。一方、誘電体共振器では共振器がない場合とほぼ同程度のパルス磁場強度と応答特性を得ることができた。 5.まとめ 誘電体共振器を用いることにより、従来よりもはるかに周波数の高い、XバンドESR装置でパルス磁場勾配を生成することに成功した。パルス電源装置については昨年試作したものを2位相出力を可能にするよう回路方式の検討を行い、実験を試みた結果、ほぼ実現可能なものを設計できた.実際に試作するにはさらに時間と予算が必要であるが、基本的な性能を達成する見通しができ、今後、高精度の位相操作を可能にする装置を開発する見通しを立てることができた。
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Research Products
(2 results)