2005 Fiscal Year Annual Research Report
有機試料用高分解能低損傷逆光電子分光装置の製作と機能性有機物質の非占有準位の観測
Project/Area Number |
16550012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金井 要 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10345845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 一彦 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80124220)
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Keywords | 逆光電子分光 / 有機半導体 / 非占有準位 / 電界放出素子 |
Research Abstract |
有機試料用の高分解能逆光電子分光装置の製作を行った。電子銃は、カーボンナノチューブを用いた高分解能電子銃、及び、BaO傍熱型カソードを用いた電子銃を作成した。前者は、得られる電子線のエネルギー分布が0.2eV程度と狭く、当初の高分解能化の目的を達している。また、後者も0.2〜0.3eV程度の分布が得られており、測定に十分使用可能となっている。また、以下の2タイプの高分解能検出系の製作を行った。(1)SrF2窓を用いたバンドパス型検出器:SrF2,KClを組み合わせ、さらに、SrF2の吸収端の温度変化特性を利用した高分解能検出器の開発・製作を行った。製作した検出器は放射光施設(分子研)において評価を行い、約0.1eVの高分解能化を確認した。(2)真空紫外分光器を用いた高分解能検出器:集光系の開発を行い、試料から放出される微弱な真空紫外光を効率的に集めるために、真空紫外域の楕円集光鏡の作成を行った。現在、既存の分光器、製作した測定槽と組み合わせて新たな逆光電子分光装置の作成を行うに至っている。 以上の装置開発によって、約0.2eV程度のエネルギー分解能(金試料により評価)を持つ逆光電子装置の開発に成功した。上記の(1)の検出器の取り込み角を大きくした事によって、電子銃の電流値を1μA以下に抑えることが出来るようになったために有機試料においても測定が可能となり、各種フタロシアニン分子や電子輸送性有機材料の測定に成功した。得られたスペクトルを分子軌道計算による計算結果と比較する事によって、従来、特定できなかった微細なスペクトルの構造を特定することが可能となり、実際に高分解能化の成果を確認するに至った。また、角度分解測定も可能となり、高配向性グラファイトの角度分解逆光電子分光も行い、従来の逆光電子分光スペクトルでは、はっきりとは観測されていなかった低エネルギーの微細な構造を分離することに成功した。 現在は作成した装置によって様々な機能性有機試料をはじめ無機試料についても測定を進めている状況である。また、以上の結果をもとに国内学会での発表を行い、現在、成果を投稿論文にまとめている状況である。
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