2006 Fiscal Year Annual Research Report
キセノン-129NMR細孔分析法によるナノ空間の動的構造の研究
Project/Area Number |
16550013
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 貴洋 大阪大学, 総合学術博物館, 助教授 (70294155)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮久保 圭祐 大阪大学, 大学院理学研究科, 助手 (70263340)
片岡 弘 富山大学, 教育学部, 助教授 (10361940)
|
Keywords | キセノン-129 NMR / ナノ空間 / 1次元ナノチャンネル / マイクロエマルジョン / ダイナミクス |
Research Abstract |
本研究では細孔構造や流体の局所密度に敏感なキセノン-129NMR法を用いて、動的ナノ空間を系統的に攻究することを目的とする。平成18年度は、昨年度から研究を継続している気体吸蔵能を有する集積型金属錯体[M_2(O_2CPh)_4(pyz)]_n(M=Cu,Rh)について、細孔構造と吸着キセノンどうしの相互作用を主に^<129>Xe化学シフト値の圧力及び温度変化によって調べた。その結果、^<129>Xe化学シフトテンソルの温度依存性からキセノンが二量体を形成しながら吸着が進むことを突き止めた。これらの成果を、アメリカ化学会の物理化学専門雑誌であるJ.Phys.Chem.Cへ発表した。一方、C12E5、デカン、水の3成分系からなるO/Wマイクロエマルジョンのサイズと^<129>Xe化学シフト値の相関について、マイクロエマルジョンを構成するC12E5とデカンの局所構造やキセノンとの分子間相互作用の立場から考察を加えながら、溶存キセノンの化学シフト値を化学交換モデルで解析するとともに、X線小角散乱実験の結果とも合わせ、キセノンNMRがO/Wマイクロエマルジョンに対する新しいサイズ決定法と成り得ることを明らかにした。この結果を論文にまとめ、エルゼビア社が発行する物理化学速報誌Chemical Physics Lettersに投稿中である。 平成16年度から平成18年度にわたる本研究計画の遂行によって、当初の目的である「動的ナノ空間の基礎的性質の解明」を達成したばかりでなく、本研究において新たに確立した^<129>Xe NMR細孔分析法による「マイクロエマルジョンのサイズ決定法」や「細孔物質へのキセノン吸着おける吸着構造の追跡」等、今後の新しい研究につながる貴重な成果を得ることができた。
|
Research Products
(3 results)