2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550020
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
菊地 公一 北里大学, 理学部, 教授 (10004433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲田 妙子 北里大学, 理学部, 講師 (60286375)
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Keywords | 分子間電子移動 / 蛍光消光 / 励起状態 / 粘度効果 / エチレングリコール / 金属イオン |
Research Abstract |
粘度の高いエチレングリコールを溶媒に用いて、(i)電子消光剤としてEu^<3+>とYb^<3+>イオンを、電子供与性蛍光体として種々の芳香族分子を用いた系について蛍光消光電子移動を調べ、蛍光消光の速度定数(k_q)、消光距離、そして蛍光消光一回当たりの三重項収量とフリーラジカル収量を測定した。また、(ii)電子受容性蛍光体、電子供与性消光剤ともに芳香族分子を用いた系についても同様の測定を行った。 (i)、(ii)の測定で得られたk_qの値を蛍光消光電子移動反応の自由エネルギー変化ΔG_fに対してプロットを行い、系(i)、(ii)の相違を調べた。さらに、これらのプロットを粘度の低いアセトニトリル中で得られた同様のプロットと比較した。 系(ii)の場合、溶媒粘度の違いに起因する拡散係数の違いを考慮すれば、このプロットに対する溶媒粘度効果はほとんどないことがわかった。しかし、系(i)の場合はこのプロットに対して、溶媒粘度の違いに帰することのできない溶媒粘度効果を見いだすことができた。 Downhill regionにおける電子移動消光は主としてExciplex形成によることを考慮すると系(ii)の場合、高粘度溶媒中でもExciplexが形成されやすいことがわかる。しかし、系(i)の場合は、高粘度溶媒中でExciplexが形成されにくいことがわかる。その理由としては、ラジカルイオン対が共に正電荷をもつことになるので、クーロン反発力によりExciplexが安定化されないことの他に、高粘度溶媒であるエチレングリコールの特殊な性質の寄与があると考えられる。 また、系(i)のDownhill regionがΔG_f=-1.0eVまで拡大しているのは芳香族分子より金属イオンのサイズが小さいことによると考えられる。
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