2004 Fiscal Year Annual Research Report
拡張型フラーレンカチオンの合成とその機能性単分子膜の開発
Project/Area Number |
16550035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 敏一 京都大学, 化学研究所, 助教授 (20183791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 紘一 京都大学, 化学研究所, 教授 (70026243)
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Keywords | フラーレン / カルボカチオン / フラレノール / NMR / 活性化自由エネルギー / 熱力学的安定性 |
Research Abstract |
1.アルキルC_<70>カチオン前駆体の合成 我々が開発したC_<60>のアルキル化法をC_<70>に適用し、 C_<70>のクロロアルカン付加体を合成した。すなわち、クロロホルム中でC_<70>を大過剰の塩化アルミニウムで処理することにより、モノ付加体Cl_2CH-C_<70>-Cl(1)を得た。特記すべき点は付加位置の選択性であり、C_<70>骨格に5種類の異なった炭素が存在するにもかかわらず単一の位置異性体のみが選択的に生成することが明らかとなった。得られた付加体をシリカゲル存在下で加水分解することにより、対応するフラレノールCl_2CH-C_<70>-OH(2)を得た。これはC_<70>骨格に水酸基が1個結合した新規付加体であり、C_<70>フラーレンカチオンの優れた前駆体である。 2.アルキルC_<70>カチオンの発生・観測 フラレノール(2)を超強酸であるトリフルオロメタンスルホン酸に溶解させることによりイオン化させ、カチオン種Cl_2CH-C_<70>^+を発生させることに成功した。このカチオンは、C_<60>以外のフラーレン骨格に付加基が結合した構造をもつ、初めてのカルボカチオンである。カチオン溶液のNMR分析により、ジクロロメチル基がC_<70>骨格の赤道からひとつ離れた位置の炭素に結合した異性体のみが純粋に生成したことが示された。また、塩化物(1)のイオン化自由エネルギーをS_N1型加溶媒分解反応の速度測定によって精密評価することにより、カチオンCl_2CH-C_<70>^+は同じ付加基をもつC_<60>カチオンCl_2CH-C_<60>^+とほとんど等しい熱力学的安定性を有することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)