2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550045
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
岡崎 廉治 日本女子大学, 理学部, 教授 (70011567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 惠子 日本女子大学, 理学部, 助手 (00130740)
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Keywords | チオカルボニル化合物 / チオフィリック反応 / 二硫化炭素 / 一硫化炭素 / カルボアニオン / 有機リチウム試剤 / カルベン |
Research Abstract |
カルボニル化合物と求核試剤との反応がもっぱら炭素上で起こる(カーボフィリック反応)のに対し、チオカルボニル化合物との反応では炭素上のみでなく、硫黄上でも起こる(チオフィリック反応)ことが知られている。本年度の研究では、特異な形のチオカルボニル化合物である二硫化炭素とかさ高いボウル型置換基であるBmt基(4-t-ブチル-2,6-ビス[(2,2",6,6"-テトラメチル-m-テルフェニル-2'-イル)メチル]フェニル基)をもつリチウム試剤BmtLiとの反応を検討した。その結果、BmtLiが選択的にCS_2の硫黄上を攻撃した生成物が得られることが明らかとなった。反応は-98℃でも速やかに進行した。反応をMeIを加えて停止すると、アルケン(Bmts)(MeS)C=C(SMe)(SBmt)(1)とエステルBmtSC(=S)Meが生成した。しかし、よりかさ高いハロゲン化物である臭化メシチルメチルMesCH_2Brを用いるとBmtSC(=S)CH_2Mesが得られた。一方、BmtLiとCS_2の反応を-98℃で行い、-50℃に昇温後MeIで反応を停止するとアルケン1とスルフィドBmtSMe(2)が生成した。これらのことから、BmtLiとCS_2から反応中間体BmtSC(=S)Li(3)が生成すること、それが二量体(BmtS)(LiS)C=(SLi)(SBmt)と平衡にあること、3は-50℃でも不安定で一硫化炭素C=Sを放出して分解することが示された。-30℃では2のみが得られた。反応中間体3はHC(=S)(SBmt)のリチウム2,2,6,6-テトラメチルピペリジドとの反応でも定量的に生成することが示された。一硫化炭素C=SはこれまでCS_2の放電による分解で生成することが知られていたが、重合し易く取扱いが困難であった。3を生成させた後、C=Sの捕捉剤としてピペリジンを加えると高収率で捕捉体が得られ、3が新しい優れたC=S発生剤であることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)