2005 Fiscal Year Annual Research Report
異種多核錯体の接合に基づくヘテロナノ構造のボトムアップ形成と多機能発現
Project/Area Number |
16550048
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阿部 正明 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (90260033)
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Keywords | 多核錯体 / 金属クラスター / ボトムアップ / 固液界面 / 配位子置換 / 酸化還元 / ポルフィリン配位子 / レニウム錯体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、酸化還元活性な多核金属錯体を分子ユニットとし、それらをヘテロ型に組み合わせた構造体を合成し単離すること、さらに固体基板上で構造体を形成する手法を確立し、固液界面における酸化還元・光特性を開発することである。我々は昨年度まで、金電極表面に三核錯体ユニットを逐次的かつ定量的に積層化することに成功しており、本研究を遂行する上での基礎的・技術的基盤は得ている。本研究は、これまでの研究成果を発展させ、酸化還元および発光性を示すレニウム六核クラスターや触媒反応性を示すポルフィリン誘導体を逐次的に積層化することで、新規なヘテロ構造体を構築することに主眼を置く。本年度は以下の研究成果を得た。 (1)金電極表面へ酸化還元活性かつ発光性を示すレニウム六核クラスターをルテニウム三核錯体自己集合化単分子層の上へ表面錯形成反応により連結し、ヘテロナノ構造を得る手法を確立した。積層構造をIRをはじめとする表面分光法により特定し、サイクリックボルタンメトリーにより酸化還元特性を詳細に調べた。その結果、各分子ユニットに帰属される酸化還元波を明確に示すことが分かった。 (2)4-ピリジルポルフィリン配位子をルテニウム三核錯体に配位させた錯体を合成し単離した。ジスルフィド基を含む三核-ポルフィリンヘテロ錯体を合成し、金電極表面への自己集合能を利用し単分子層として固定化した。また、酸化還元応答を観測することにも成功した。さらに、三核錯体ユニットからの末端CO配位子の脱離挙動を速度論的に解析することに成功した。酸化還元電位の電解質アニオンに対する依存性についても知見を得た。
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